日本古来の習わし”土用の丑の日”

環境問題・エコについて考える

土用の丑の日と環境問題

投稿日:2018年7月11日 更新日:

日本古来の習わし”土用の丑の日”

日本には古き良き風習がたくさんあります。毎年7月20日頃にやってくる”土用の丑の日”もその一つ。暑さで食欲減退気味のこの頃に、栄養たっぷりのウナギを食べると、夏バテを吹っ飛ばすことができる!というもの。ちなみにこの”丑の日”、十二支の”丑”なんですね。干支というのは年だけでなく日付にも適用されていて、12日に一度”丑の日”がやってきています。そして”土用”は、立春・立夏・立秋・立冬の前18日間のことで、その間にやってくる丑の日が土用の丑の日とされています。つまり、土用の丑の日は、春夏秋冬それぞれにやってくる、というわけです。なのに何故、今時期の土用の丑の日が注目を浴びるのか…。

 

そもそも土用の丑の日が広まったのは、江戸時代、鰻屋のPR戦略?!

現代でもそうなのですが、やはり流行には仕掛け人が存在します。本来、天然ウナギが最も美味しいとされているのは冬。江戸時代、夏場にうなぎが売れずに困った鰻屋は、知恵者で有名な学者『平賀源内』に相談したそうです。源内は「丑の日には『う』のつく食べ物で、夏バテ解消を!」というアイデアを考えます。そして鰻屋は
「本日丑の日」〜土用の丑の日うなぎの日 食すれば夏負けすることなし
という張り紙を出して宣伝したところ大繁盛!これが全国的に広まったとされています。要するに江戸時代の風習を今尚、継承しているということ。

 

うなぎって絶滅危惧種なのでは?食べていいの?

日本古来の習わし”土用の丑の日”

そう、うなぎは、IUCN(国際自然保護連合)が定めている絶滅危惧種です。絶滅危惧種はレベルわけされており、個体群が消滅する危険が高いとされている絶滅危惧種は当然食べてはいけないのですが、科学的な検討の上で、うなぎの個体群の減少率から絶滅危惧種に指定されているものの、現時点では直ちに絶滅するものとは考えられていないという点、絶滅危惧種指定だけでは法的な拘束力もない点、から食べてはいけないとはされていません。うなぎの個体数の把握、減少の原因などが明確になっていない今、食を制限すれば解決するという問題でもないのです。もし個体数減少の理由が他にあった場合、食制限をしたところで問題解決にはならないし関係者の職を失いかねない、ということです。

 

それでもウナギを食べたい!規制されていないからいいのでは?

とは言え、問題は、土用の丑の日だからと無自覚に店頭に並べられたうなぎの総量です。クリスマスケーキや恵方巻きと同様、季節商品の売れ残りの顛末は、廃棄です。その廃棄に対する調査結果は、ネット上でも多く紹介されていたので目にしたことがある方もおられるかもしれません。

元は、江戸時代に町の商人である鰻屋が仕掛けた販売戦略だったこと。今は時代が変わり、うなぎそのものの個体数がなんらかの原因で減少していること。売れ残りは廃棄されている可能性が高いこと。などを鑑みて、無自覚な消費、時代に沿わない風習は各家庭において見直してみるのはいかがでしょうか?

例えば、風習に倣おうとするなら「う」のつくものを食せば良いわけですから、うどんや梅干し、うりなどを食べるのも良いでしょう。例えば、夏バテを防ぎたいなら、そもそもの生活習慣を見直す方が良いでしょう。ウナギにまつわる現状を知り、自分で調べ、食べる食べないを自主的に決定することをオススメします。消費者が持つ消費力がこの世の中で最大の力であると共に、無自覚な消費は地球環境を破壊し続けているということも合わせて考えてもらえると嬉しいです。

ethical is happy❤


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e.さん

小一男子の母。 出産・育児を経て『身体は食べたものからできている』という当たり前のコトに気付く。 食材のもつエネルギー、太陽のもつエネルギーなどを上手に取り入れた昔の人々に感心しながら、実生活で実験中。 免疫力と新陳代謝を高めることを目指し、日々奮闘している。海と風が大好きな40代。 プレスとして20年ライティングに関わってきた経験を活かし、オーガニックライフ、養生ライフなどについて紹介していきます。

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