フードコーディネーターって、なに?!
初対面の方に必ずと言っていいほど質問される私の仕事。
それはフードコーディネーター。
「聞いたことはあります!料理を作る仕事ですよね?」
8割の方にこう言われます(笑)
これはある意味正しいです。確かに料理を作っていますからね。
でも、私が作っている料理は基本的に食べられません。なぜなら私の仕事は“食べてもらう”ために料理を作ることではなく、“魅せる”ために料理を作る仕事だからです。
多岐にわたるフードコーディネーターの仕事
フードコーディネーターと言ってもその仕事内容は多岐にわたり、活動している分野もその人によって違います。
ちなみに以下の仕事は私が関わったことのある仕事の一部です。
・テレビドラマ・CM・バラエティ番組などに登場する食事の撮影
・カタログ撮影
・レシピライター
・スタイリング
・メニュー・レシピ考案
・試作
・カロリー計算
・再現レシピ など
この他にも、料理教室の講師や自らテレビ出演される方もいます。
しかし共通しているのは「食が主役」ということです。フードコーディネーターはその時主役になる食べものが美味しそうに、きれいに見えるように全力を注ぎます。
フードコーディネーターの仕事の醍醐味“魅せる”瞬間を作り出す仕事道具たち
私たちフードコーディネーターの仕事の醍醐味は何と言っても“魅せる瞬間”を作り出すことです。
私たちが一番集中し、神経を使い、工夫をし、頭を使う作業です。美味しい瞬間を作り出すために欠かせないのが仕事道具。
「料理を作るのだから普通のキッチン用品でしょ?」と思われがちですが、“魅せる”ことに重点を置いて料理を作る私たちフードコーディネーターの仕事道具はキッチン用品だけではなく、様々なものがあります。
メイン道具である包丁たち。
人にもよりますが、包丁だけでも私はこれだけ持っています。
私は撮影する内容に合わせて持参するものを変えますが、全て持ち歩く方もいます。
その他の基本の道具はこちら
これでもほんの一部です。
え?!料理にこれ使うの?と驚くものもたくさんあると思います。
例えば定規。
CM撮影では同じシーンを何度も撮影するため、同じ形、同じ大きさの食材を大量に用意しなければなりません。
そのために必須アイテムなのが、定規。
例えば大根のイチョウ切りを用意するなら、同じ太さの大根を何本も用意して定規で測って同じ厚さに切り、同じものを用意する必要があるのです。
私たちフードコーディネーターの仕事の醍醐味“盛り付け”を作り上げる相棒「盛り付け箸」
これは通常の菜箸や箸に比べて先が細く、細かい作業がしやすくなっています。
スチール撮影やCM撮影ではカメラ前でミリ単位の作業をしなければならないため、このような盛り付け箸で作業をするのです。
こうした道具に加え、時に冷凍庫の中で撮影することもあるため、真夏でも帽子や手袋、マフラーといった防寒具を持参したりすることもあります。
そのため私たちフードコーディネーターは移動の際は常に大荷物です(^^;
フードコーディネーターとして伝えられること
フードコーディネーターの仕事ははっきり言って体力勝負です。
スケジュールは朝も夜も関係ないので、徹夜も当たり前です。撮影現場では力仕事もあるし、走り回ることもあります。
グツグツと煮える鍋
ジュージューと焼ける肉
新鮮な野菜から飛び散る水しぶき
これらはいわゆる業界用語でいうシズル(食べ物、飲み物を美味しそうに撮影するカットのこと)です。
見ているだけで「私もこれが食べたい!」と思わせるような、食べ物が最高に美味しそうな瞬間を作り出すのが私たちの仕事です。
このシズルのために共に撮影するスタッフの方々と力を合わせ、全力を尽くすのです。
それは何のためか?
—“食べる”楽しさを伝えることによって“前向きになるきっかけ”をプレゼントするため。
これこそがフードコーディネーターの仕事の真髄だと私は思っています。
「嫌なことがあって落ち込んだから、大好きなケーキを食べちゃおう。」
「この仕事を頑張ってやり遂げたら、ご褒美においしいものを食べに行こう。」
皆さんはこんな風に考えたことはありませんか?
美味しく食べるということは、やる気や元気がなくなった時に、前向きになるためのきっかけになってくれたりもします。
そして前向きになるということは“生きる”ことそのものにつながると私は考えています。
“美味しそうな料理で表現し、“魅せる”ことで生きる勇気をプレゼントする“
大それた表現かもしれません。
でも、CMや広告でシズル感たっぷりの料理を目にした時に「食べたい!」とワクワクする。
見る人たちにそんな気持ちが生まれたら、私はフードコーディネーターとして嬉しく思います。