自然食品業界に10年勤めたオジサン2人が、世田谷区学芸大学で自然食品店を2018年11月にOPENしたと聞きつけたオガライフのオジサン。
本エントリーは、オジサンがオジサンを取材したカオス記事となっております。一般的に、自然食品店のお客様は7割以上が女性客にも関わらず、オジサンだけで独立するに至った経緯や今後の展望、業界歴10年以上だから見えるオーガニック業界の今について聞いてみました。
こんにちは。
世田谷区学芸大学で自然食品店『五風十雨』(ごふうじゅう)をオープンしたシマンこと奥山です。
注)本エントリはオガライフさんの取材記事ですが、サイト側のご好意を頂き、記事を書いているのは取材された側の五風十雨で記事を書かせてもらっております。若干の自作自演感は否めませんが、テキストをお楽しみ下さいませ。
目次
30後半のオジサン2人がなぜ世田谷区学芸大学で自然食品店「五風十雨」をOPENしたのか?
オガ:こんにちは。オガライフのオジサ……。編集部です。早速ですがなぜ今回、オジサン2人で自然食品店を開業することとなったのですか?
イシマン:そっすね~。これが若い女子2人とかなら花があって、メディアにも引っ張りだこなのでしょうがなんでかなぁ~。ひょんなことからこんなことになったわけで……。今の店舗のある場所の前身は、世田谷の自然食品店として27年間運営されておりました。ですが設備の老朽化などによって、店舗を手放す決断をするにいたりました。私たちも元々はその自然食品店の運営母体の社員だったわけですが。。。
オガ:なるほど、なるほど。しかし27年とはなかなかの歴史ですね。会社も苦渋の決断だったことでしょうが、なぜ老朽化がみられる店舗を引き取ることになったのですか?
イシマン:端的に言うと店舗を「やりたい」と言うよりは「やならくちゃ」という感覚の方が合っています。27年も世田谷の地に根差していると、すでにお客様の生活の一部になっていてお店がなくなることはお客様の命にかかわる場面すら生みかねないからなんです。
オガ:命にかかわるとは、なかなか極端な表現ではありますがどんなことがあるのですか?
イシマン:言葉として耳にしたことがあるかもしれませんが「CS(化学物質過敏症)」の方は食べられるモノと、食べられないものが存在します。
オガ:はい。聞いたことはありますがなかなか身近には出会うことが無いので現実感が薄いですが、どう言ったものなのですか?
イシマン:簡単に言うとアトピーなどで一般的な「アレルギー反応」のさらに上位のようなモノです。症状としては発疹であったり呼吸困難などを生じることがあります。おっしゃるように身近な存在にCSの方が居ないと、理解しがたい世界かもしれませんね。ですが数十年前をかえりみると「アトピー」や「花粉症」と言うワードはマイノリティでしたが今となっては患者数も多くなり広く認知された言葉です。
オガ:そうですね。そういった方の食を担っているとなると簡単に閉店の決断はできないですね。ところで奥山さんは私が質問している間、なぜ眠っているのですか??
イシマン:あ。これですか。基本的に私は写真写りが悪いのです。数十枚に及ぶカットをとってもらったにもかかわらず八割方は眠ってましたので、ありのままを掲載しております。
当店でも全ての食材がCSの方にフィットするわけではなく、食べられるモノと食べられないものがあるのが事実です。そんなこんながあって、継続の可能性がゼロでないのであれば店舗を「存続させねば」と思うに至りました。で、手を挙げたのがたまたま「オジサン」が二人だったのです。
「五風十雨」運営までの道のりは
オガ:五風十雨の運営までの道のりなど教えていただけますか?
イシマン:まずはブレないコンセプトがあるかどうかが重要だと思っています。私たちは前身の自然食業界でたくさんのことを学ばせてもらったので、コンセプトに関してはブレることがありません。
オガ:一般的な自然食品店のイメージだと「体にいいもの」や「安全・安心」と言った食の提供のように感じますが、五風十雨さんはどのようなコンセプトなのでしょうか?
イシマン:まず大それたことを言いますと【日本のオーガニックをぶっ壊す】
オガ:……。だ。大丈夫っすか??、業界を敵に回しませんか?
イシマン:あ。敵は作りたくないので少々補足しますね。多くの方がもつ【オーガニック】のイメージは『からだによさそう』『健康的』などなどすべてのベクトルが『人』へと向いていますがオーガニック先進国は異なります。オーガニック商品への消費は『環境』『地球』のためです。これはよく例えに出すことなのですが、日本は急峻な山があり水に恵まれた国です。なおかつ、島国であることから水を奪い合うこともありません。しかしヨーロッパなどの地続きで隣国と接している場合、ひとつの川が複数の国にまたがることはまれではありません。もしも水脈の国が水を汚してしまったら大きな国際問題となります。
歴史的にも水をめぐる紛争があるくらいです。そしてヨーロッパの概念として「農業とは環境を破壊するも」という概念をベースにしたうえで農業がおこなわれています。この感覚は日本人には理解しがたいのではないでしょうか?
オガ:なるほど。日本人が持つ【オーガニック】という概念を書き換えると言うことですね。確かに農業が環境を破壊するという感覚はもったことが無いかもしれないですね。具体的にはどう言ったことなのですか?
イシマン:地方出身の40代以上の方なら多少は経験があると思うのですが、昔は井戸水(地下水)が飲用水でした。しかし私が子供のころには「飲用できない水」としてカテゴライズされて小学低学年のころには近所の井戸水は、散水用としてしか使われることはありませんでした。
な~んでか?
オガ:えっ。いきなりクイズですか!?う~ん。農業と関係があるのなら……。
「農薬?」
イシマン:おしぃ!
正解は「肥料」です。
オガ:肥料って植物の栄養でもあるアレですよね?
イシマン:そうです。その肥料とは、窒素・リン酸・カリという三大要素からなります。で。何が問題かと言うと窒素の量なのです。
オガ:窒素って空気中の7割以上を占めているあの窒素ですよね?その窒素によって地下水が飲めなくなった??
イシマン:土の中の窒素は、微生物の分解によって循環しています。窒素酸化物→アンモニア態窒素→亜硝酸態窒素→硝酸態窒素→窒素へと変わり大気中へと放出されて循環しています。これはあくまで人の手が入っていない自然界におけるバランスにおいて成立しています。しかし、人によって過剰に窒素が投入された場合はこのバランスが崩れてしまいます。
オガ:奥山さん(汗)。オガライフ史上、かなり難解なテキストの上位にランクインしつつあるのですが…
イシマン:(笑)ですよね~。(減速するつもりはありませんが…)
過剰に投入された窒素は硝酸態窒素として植物に吸い上げられたり、分解されずに地下水へと溶け込んでいき、最後は海へと流れつきます。
オガ:「しょうさんたいちっそ?」ですか?なにが問題なのでしょうか?(相変わらず眠っていますが…)
イシマン:「硝酸態窒素」は土の中に存在しているモノでありそれ自体は自然なコトなのですが、問題はその量です。窒素の語源は「窒息する」「物質」という意味です。人によって土へと過剰に投入された窒素は「硝酸態窒素」へと形を変え植物が吸い上げ、または、水に溶け込みます。過剰な硝酸態窒素は、植物や水を摂取する動物にも影響が出ます。簡単に言うと、体内で酸欠が起きる可能性が出ます。EUでは、農産物の硝酸態窒素の含有量に対する基準が設けられていますが、日本は飲料水に対する規制のみで、農産物の基準はありません。
オガ:なるほど。
「しょうさんたいちっそ」が多すぎるとあまりイイことは無いけど自然界には当たり前に存在するものなんですね。
イシマン:ハイ。
全てのモノがそうだと思います。どんなに汚染とは無縁な「水」があったとしても、水を過剰に摂取すれば「溺れます」。
オガ:極端ですね~(涙)
確かに水が多ければ溺れますが……
イシマン:私たちは「体にいい」「健康になれる」なんて都合のいい食べ物は無いと考えています。どんな食べ物でも「毒にも薬にも」なりうる可能性があるからです。硝酸態窒素と同じで、自然界にとって必要な要素でもある一方で過剰になると毒として認定されてしまう事実。
オガ:「過ぎたるは猶及ばざるが如し」的な感じですね!※すぎたるは およばざるがごとし
イシマン:あの~、オガライフさん。。。勝手に上手いコトまとめるのヤメテいただけませんかね~。ですが、本当にその通りだと思いますよ。全ての物事は表裏一体だと思っています。だからこそ色んな方向からコトを見れる視野を失わないように心がけています。そんなスタンスが私たちのベースコンセプトなんですよね。
今後のオーガニック業界と五風十雨とは
オガ:(ボチボチ締めたいのですが、まだお眠さんですね)
今後の五風十雨は、どのような展望をお持ちですか?
イシマン:そうですね。取り急ぎ「黒字化」を急ぎたいですね(笑)結構思われがちなことだから、誤解を覚悟で言うのですが「日本のオーガニック食品って富裕層向けですよね……」って、よく耳にしますが。。。
心して聞いてください。当店の原価率の平均は7.5割です。(2019.02の集計) 100円のモノを売って25円の粗利です。100万売って25万の粗利。30後半のオジサン2人が週6勤務で勤務時間は伏せておきますが堂々とブラックであることを宣言できます(好きでやってます)家賃・水光熱・人件費などの経費を鑑みて決してボロい商売ではありません。だから普通の自然食品店は「サプリメント」を扱います。粗利がいいのでね。なかには原価率3割ぐらいのモノもありますので。。。
ハイ。もう分かりましたよね。
職業選択の自由の世において、選択肢としては薄い職業です。でも、子どもたちの未来に残すべき農業や文化を考えたときこの商売の面白みを感じるのです。
「あなたは、あなたが食べたものからできている」
コレを子供に胸を張って言える大人でありたいと思いながらいつも通帳と向き合っています。
オガ:あ。通帳ですか。。。まぁ。自営の月末は大変ですよね(汗)日本の大手企業もオーガニック食品に参入してきていますが今後の業界はどのようになっていくのですかね?(こんな弱小店舗に聞いてイイ内容なのか疑問ですが)
イシマン:(オガライフさん心の声が聞こえていますよ)
そっすね~。大手企業の参入はとてもイイことだと思っています。やはり彼らは、商品開発力と発信力は我々の比ではありません。どんどん広がってほしいと思っています。一方で町の自然食品店はもっと尖っていかないと淘汰される可能性はありますよね。店舗(ハード)でも商品(ソフト)でもなく、知識や経験(コンテンツ)をどれだけお客様に共感していただけるかだと思います。
例えばオーガニック系のスーパーに行って店員に「種子法が廃止されたことは今後の私たちの食生活や農業にどのような影響が懸念されるか?」なんて質問したら、ヘンナ客扱いされること請け合いですが当店ではスタッフがここぞとばかりに「瞳孔開きっぱなしで」お客様と熱く語り合います。
オガ:コンテンツが重要なのはどの業界も一緒ですね。確かに情報過多な現代において、一方的な情報の授受ではなく第三者とのコミュニケーションを通して自分の考えをまとめていくことは大切ですよね。
イシマン:そうなんですよ。ネットて調べたって不安が募るばかりでイイこと無いですよ。不安や疑問に対して一方的に「回答するのでは無く」お客様なりの答えを導けるようなコミュニケーションを心がけています。2020年の東京オリンピックまでは大手がけん引しつつオーガニック業界は広まっていくと見ています。ロンドン五輪・リオ五輪・東京五輪と三大会連続で「持続可能」と言うテーマがある以上、業界は拡大路線が大筋です。ですが、オリンピック以降は淘汰がはじまるのではないかとも思っています。
オガ:なるほどなるほど。まずは「黒字化」ですね。2020年を乗り越えられるように、陰ながら応援させていただきます。
イシマン:あ。陰ではなく表立って応援してもらって構いませんよ。
オガ:……。うちのコンセプトも「これが良いよ!」みたいな感覚はなくバランスとってますので陰ながら。。。さて、まさか私たちが取材した内容とは一切関係ない取材記事になるとは思ってませんでしたが、五風十雨さんの熱い部分が前面に溢れすぎてて暑苦しいほどの時間でした(圧)
是非、今後の業界の発展のためにも頑張ってください!
イシマン:ありがとうございます。これに懲りずに細く永くお付き合いいただければ。。。
オガ:(しかしもう一人のオジサンはどこに行ったのだろう?、取材時には隣にいたはずなのに)
奥山さん、共同で運営されているもう一人のオジサンは登場してませんがイイのですか?
イシマン:あ~ぁ。(わすれてた……)
オガ:……。
世田谷区学芸大学の自然食品店『五風十雨』
五風十雨の奥山さんありがとうございました!今回、写真撮影のお時間も含めると、3時間ほど取材にご協力いただきました。
お話させていただいた中で一番感じたのは、“ものすごく本気でやってる”熱い想い。
オガライフでは今後も陰ながら…いや、表だって、応援させていただきます!!
オガライフ編集部
五風十雨×オガライフ、先着10名様に無料プレゼント!
なんと今回、五風十雨さんからオガライフの読者さんへ限定特典をご用意していただきました!
五風十雨にご来店、お買い物時のレジの際、オジサンに
「オガライフ見た!」
とお伝えいただけるとカカオ100%のクーベルチュールチョコレートを無料でプレゼントいたします。
※先着10名様、期間は3/21(木・祝)までです!
キャンペーンは終了しました。
クーベルチュールチョコレートの特徴はカカオ100%なのに甘さを感じること。
非加熱(48度以下)での製造(生チョコではありません)。
アリバ種と言うカカオの原種に近い一種であり、ジャスミンの香りがする独特のフレーバーとお砂糖が入っていないのにほんのりとした甘みを感じる希少な最高級品質純チョコレートです。
実はこのチョコレート、私たちも頂いたのですが…
(え、これホントにカカオ100%なんですか?甘いっ!)
と驚いた、オガライフからもおすすめのチョコレートです。
カカオ100%のチョコレートについて詳しく知りたい方はコチラ
先着10名様ですので、お早めに五風十雨に足を運んでください!
キャンペーンは終了しました。
地図:五風十雨
facebook:五風十雨