ツユクサと聞いてどのような植物が思い浮かびますか?
夏から秋に季節が変わろうとする時期、道端や田の畦に見られる愛らしい蝶形のコバルトブルー。小さく可憐な姿とは相反する巧みな生態に加え、日本伝統文化とも所縁あるマルチな面を合せ持つ植物なのです。
ツユクサの名前の由来は…
名前の由来は、朝開いて午後にしぼむ露のように短命さから、という説があります。他にも万葉集には「月草・鴨跖草(ツキクサ)」という名で詠まれ、心変わりや移ろい、儚い命を表現していたようです。名前の由来からは儚いイメージを持ちますが、短命が故、後世に命を繋ぐ努力に余念がありません。なぜなら、ツユクサは、幾つかの繁殖方法を備えているからです。そしてその生態は、儚さとは逆に逞しい生命力さえも感じさせるのです。
ツユクサは自家受粉、他家受粉、閉鎖花の3つの生殖方法を持っています!
・他家受粉
虫に花粉を運んでもらって受粉する。
・自家受粉
昆虫が雄しべの花粉を運んでくれないとなると、夕方にしぼむ際に雄しべ・雌しべがカールして自家受粉する。
・閉鎖花
名前の通り、閉じた花をつくる。よって見た目は、蕾に見える。最初から、雄しべと雌しべがくっついている為、結果的に自家受粉となる。
動くことなく、短命であるが故に命を次世代に継ぐ工夫。与えられた環境条件の中での生き抜くすべ…。すごい。凄すぎる!と勝手に感動してしまいます!
ツユクサを煮てお茶にして飲むことも可能!
ここまで生態的特徴を紹介しましたが、ツユクサは炒めて、煮て、お茶にして…と、人間の生活・文化とも関わりがあります。ツユクサから得られる効能も様々です。主に開花期の茎葉を天日干しでよく乾燥させて使います。
利尿効果、下痢止め、解熱、咽頭痛には煎じて、あせも、かぶれに対しては浴湯料として用いられることもあります。
※効能・効果については、個人差があります。
薬用だけではありません。実は古くから、ツユクサの花は染料としても使われていました。例に友禅染めの下絵書きや花の搾り汁を和紙に染めた青花紙があります。
ツユクサの知られざる一面…
現代では自然に左右される栽培や加工プロセスの手間が掛かるということもあり、化学的に合成された染料が多いことでしょう。ただ、化学染料に発達する前の背景の一部を心に留めておくと、身に着ける服や紙に愛着が湧く気がしませんか?
ここでちょっと小話です。
「薬を服用する・内服する・服薬する…etc」と言いますよね。語源は草木の薬効を身にまとう、体内に取り込むということだそうです。古来、東洋人は、植物の薬効を認識していたのですね!以上、ツユクサのあまり知られない一面でした♪