心と身体をいたわる心身回復のリストラティブヨガとは?
日々、仕事やご家庭のことなどで忙しく頑張っていらっしゃるみなさまのなかには、ご自分をいたわるリラックスやセルフメンテナンスの時間を取れないといった方が多いようです。他者への気遣いや奉仕をしている方々にこそ、心身の回復力を養い、ストレスを解消する時間が大切です。
私自身、幼い頃から新体操選手として、またダンサーとして常に身体を動かす日々を送っていました。あるとき酷い関節炎の痛みに襲われ、追い打ちをかけるように様々な心身の不調が生じ身体を動かせない状態になってしまった経験があります。身体のメンテナンスはこまめにしているつもりになっていましたが、本当の身体の声、心の声に気づいていなかったのです。そんなとき出会ったのがリストラティブヨガや陰ヨガでした。心身の回復力を高めてくれるヨガとの出会いにより、少しずつ身体と心の元気を取り戻し、現在はこのヒーリング要素の高いヨガを講師としてお伝えしています。
リストラティブヨガとは?
リストラティブとは「心身回復」を意味します。リストラティブヨガでは、ブランケットやブロック、ベルト、ボルスターなどのプロップス(補助具)を使用し、身体を安定させた状態で身をゆだねるように時間をかけてチカラを手放していきます。時間をかけることで次第にゆったりとした呼吸になり、副交感神経を優位にさせ、心身にリラックスをもたらすセラピー要素の高いヨガです。
リストラティブヨガではリラックスを促すため環境づくりも大切。リストラティブヨガで大切な3つのキーワードが「静けさ」「暖かさ」「暗さ」です。テレビやスマートフォンなどの電源を切り、身体が冷えないよう動きやすくゆったりとした服装を選び、部屋のなかも適度に暖かさがあるようにします。昼間であればカーテンを閉め、間接照明などを使いできるだけリラックスしやすい環境を整えることも重要です。リストラティブヨガの考案者ジュディス・ラサター氏はストレスの解消に効果的な方法は、“身体を心地よい状態にし、呼吸に意識を向けること”とあります。日々せわしなく働き続ける心と身体を安心してゆだね、過去や未来に意識を向けることではなく、与えられた「今の呼吸」に意識を向けることで、次第に静けさと安らぎが訪れ、日々の生活のなかで消耗しがちなエネルギーを取り戻すことにつながります。
簡単!自宅でできるリストラティブヨガポーズ~基本編~
今回は新型コロナウィルスの問題による外出自粛が続くなか、ご自宅でも簡単におこなっていただけるようブランケットを使用したリストラティブヨガの基本のリラクゼーションポーズをご紹介します。
【用意するもの】
・ブランケット(シングルサイズ。できればしっかりとした生地のもの)3枚
・タイマー(安心して身をゆだねることができるよう時間を計ります。)
・お好みでアイピローやタオル
*身体(脊柱)の安定性を大切にするため、ふわふわしたソファなどの上は避け、ヨガマット(冷えるようであればその上にブランケットを敷きます)、カーペット、畳の上などでおこなってください。
① A.広げたブランケットを八つ折りに、B.四つ折りにしたブランケットはロール状にし、写真のように配置します。
② 身体を冷やさないように上からかけるブランケットを用意し、タイマーを5~20分にセットします。(時間があれば20分程度おこなうことで、身体のリラックスからさらに神経系に働きかけることができます。)
③ A.のブランケットの上に頭を置き、B.のロール状にしたブランケットの上に膝裏がくるようにし、ブランケットをかけながら仰向けになります。アイピロー、もしくはタオルを目の上にのせます。(リラックス感がさらに増しますが、不安などを感じたら使用しなくて大丈夫です。)
手のひらを上向きに身体から少し離して置き、息を大きく吐きます。
④ 自然な呼吸に意識を向け、全身を床にゆだねるようにチカラを抜きます。
(頭のなかの考えごとが止まらないようであれば心地良い意識的な呼吸をおこなってみてください。)
⑤ タイマーが鳴ったらすぐに起き上がらず、今の呼吸に意識を戻します。呼吸や身体、心に変化があれば気づいておきます。(変化や効果を感じなかったとしてもジャッジをせず、ご自分に起きていることをまるごとやさしく受け止めてみてください。)
⑥ ゆっくりと起き上がり、ご自分の日常に意識的にゆったりとした心持ちで戻りましょう。
リストラティブヨガで毎日数分のご自分をいたわる時間を…
リストラティブヨガポーズはとてもシンプルです。一見「これだけ?」と思いがちですが、このシンプルな場所に身を置くこと、そしてご自分のための静かな時間をしっかりと設けることが、ご自分の自然な心と身体に戻ることにつながります。現在、新型コロナウィルスの問題により外出自粛が続き、私たちは心理的にも多くのストレスを抱えています。不安や心配、恐れの感情が長く続くことでイライラや抑うつ、不眠など様々な症状が生じやすくなります。今こそ、溜め込んでいる心身の疲労を解消し、心と身体の調和を保つ時間をつくり、セルフヒーリング・セルフメンテナンスを日常に取り入れてみてください。
次回は基本編から発展し、せわしないマインドの働きを鎮め、呼吸を深めやすいリストラティブポーズをご紹介します。 みなさまに心身の健やかさと安らぎ、笑顔の日々がありますように…