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優しい甘さ、ヘルシー食材…マクロビ和菓子で幸せ時間
ヘルシーな和菓子って意外と稀少なんです。元々甘いものが大好きな私。糖分は気になるけれど、甘いものは食べたいですよね。もちろん、できるだけヘルシーなものを、と考えます。そこで、和菓子はどうでしょう?洋菓子と比べ、和菓子はヘルシーなイメージがありますよね。でも、そうとも限りません。和菓子といえばあんこ。主材料の小豆は食物繊維が豊富で、体を温めてくれる、ヘルシー食材です。でも、あんこには白砂糖がたっぷり入っていることも多いのです。
また、最近は「洋菓子っぽい和菓子」が増えましたよね。材料を見ると、卵、バター、生クリーム…。本来は使われていなかったものも並びます。新しい美味しさはあるかもしれませんが、和菓子本来の良さはどこへ?「本当にヘルシーなお菓子」が食べたい!そんな人にはマクロビ和菓子がおすすめです。
マクロビオティックに基づいて作られたお菓子ですから、白砂糖、卵、乳製品、添加物などは使いません。そして、小豆や雑穀、フルーツなどにオーガニック食材をふんだんに使って作られています。安心感と、優しい甘さが魅力です。
マクロビ和菓子のお店紹介~和のかし巡~
代々木上原の住宅街にある、モダンで落ち着いたお店です。オーナーの黒岩典子さんは、化粧品メーカーのPR出身。あちこちにさりげなくセンスの良さを感じられます。もち玄米を使った大福や、季節の上生菓子などが人気で、いつも売り切れてしまうそう。
和菓子の命ともいえる餡。なめらか餡、つぶ餡、白なめらか餡、抹茶餡の4種類あります。4種類とも試食させていただきましたが、特になめらか餡はオススメ。見た目はこし餡ですが、通常のこし餡では捨ててしまう、小豆の皮やアクなどを一切捨てずに使っています。豊富な食物繊維と、なめらかな口当たりを兼ね備えた、いいとこ取りの餡ですね。どれも甘すぎず、豆の美味しさをしっかり感じられます。
甘味料は、有機アガベシロップのみを使用。リュウゼツランという植物の樹液から作られ、いわゆる低GI食品、血糖値が上がりにくい甘味料として知られています。なめらか餡を使った、笑みこぼれる餡、というお菓子もいただきました。香りのよい生チョコとの組み合わせが絶妙で、本当に笑顔になります。一緒に出していただいた有機コーヒーともよく合います。イートインのドリンクはほかにも桑の葉茶、有機ルイボスティーなど、体に優しいものばかり。
ちなみに、「巡の餡」という商品で餡だけを購入することもできます。わっぱのような、円形の可愛い容器に入れてくれます。パンに付けてもいいし、そのままお茶といただくのも美味。
そのほか、今の季節なら、ひんやりツルンとした胡麻葛プリン、さらに暑くなったら、抹茶味の夏羊羹などもおすすめ。
「これからも、美味しく身体にいいお菓子を作って、皆さんに喜んでいただきたいです。メニューもさらに増やしていきたいですね」
と黒岩さん。モダンで新しい感覚の和菓子の数々、新メニューにも期待大です。
《DATA》
住 所:東京都渋谷区上原3-2-1
電 話:03-5738-8050
アクセス:小田急線・東京メトロ千代田線 代々木上原駅徒歩5分
http://www.wa-meguri.com/
マクロビ和菓子のお店紹介~甘露七福神~
“おばあちゃんの原宿”巣鴨のとげぬき地蔵そばにある甘味処。2004年に日本初のマクロビ甘味処としてオープンしました。人気のメニューは塩あんみつ。主役の塩あんは甘さ控えめ、小笠原産の岩塩の塩味とのバランスが絶妙です。初めて出会う味でしたが、何とも味わい深く、黒蜜とも合ってとても美味。
こちらのお店は、甘味料に甜菜糖(てんさいとう)を使っています。甜菜という大根に似た野菜(実際はホウレンソウなどの仲間)の根から採れる砂糖です。
精製度が低く、ミネラルやオリゴ糖が含まれていることで知られています。もう一つの主役、寒天は国産の天草を使い、昔ながらの製法で作られた、無漂白のもの。ここの寒天はおいしい、と評判なのだとか。アイスクリームは卵も牛乳も使わず、豆乳で作った自家製。
さらにオーガニックのあんずやいちじく、松の実やクコの実など、ヘルシー食材が散りばめられ、見た目も可愛らしいです。一緒に出していただいたのが三年番茶。無農薬の茶葉を三年も熟成させたお茶で、体を冷やさず、低カフェインで安心。とてもまろやかで美味しいお茶です。
あんみつも、三年番茶もお持ち帰りができます。店内には日本人形が飾られるなど、心和む空間。とげぬき地蔵にお参りした後、ひと休みしに来るおばあちゃんも多く、マクロビを意識しているお客さんばかりではありません。
店主の田中さんも、のんびり寛いでもらうことが一番、と仰います。常連さんの中には100歳近い方もいるとか。歩くこと、美味しくてヘルシーなものを食べること、おしゃべりしてたくさん笑うこと。そんな習慣がごく自然に、ご長寿につながっているのかなと思いました。
《DATA》
住 所:東京都豊島区巣鴨3-37-5
電 話:03-5394-3694
アクセス:JR・都営三田線巣鴨駅徒歩7分
http://www.kanro-shichifukujin.com/index.html
甘味食材について考える~アガベシロップ~
マクロビオティックでは白砂糖を摂りませんが、それに代わるものとして、未精製または精製度の低い、黒糖、甜菜糖、メープルシロップ、アガベシロップなどを許容しています。「和のかし 巡」さんでは、甘味料はアガベシロップだけを使っています。原材料となるリュウゼツランはメキシコ産が有名で、テキーラの原材料にもなります。アガベシロップといえば、低GI値で人気。
オーナーの黒岩さんは、ご主人をガンで亡くし、ご自身も体調が優れず悩む時期があったそうです。その経験から、血糖値を安定させ、体の巡りをよくすることが健康の源と考え、アガベシロップを使うようになりました。ただ、ブームの後に、アガベシロップは体に良くないとする意見も広まりました。
アガベシロップは果糖を多く含むので、心臓疾患を引き起こしたり、メタボの原因になるというのです。しかしそれは、あくまで摂りすぎた場合のこと。
アガベシロップに限らず、どんな糖分でも、摂り過ぎはよくないのです。身体にいいからどんどん摂ろう!ではなく、あくまでも白砂糖の代わりに使うというくらいがいいでしょう。
幸いアガベシロップは、甘味が砂糖の1.3倍あるので、使い過ぎを防ぐのにももってこい。シロップといってもさらっとしているので、お料理にも使いやすいです。ヨーグルトにかけたりしてもいいですね。
甘味食材について考える~甜菜糖~
一方、「甘露七福神」さんでは甜菜糖のみを使っていました。白砂糖と比べると精製度が低く、ほんのり茶色いお砂糖です。アガベシロップほどではありませんが、GI値も低め。そして何より、おなかに優しいオリゴ糖が含まれていることで人気があります。ただ、こちらも身体によいからと言って摂り過ぎは禁物です。ミネラル分も含有量としては多いわけではなく、オリゴ糖はメーカーによっては含まれていない場合もあるので、注意が必要です。また、甘味は強くないので、使い過ぎないよう気をつけましょう。塩で甘さを引き立てている「甘露七福神」さんの塩餡は、見事なコンビネーションだと思います。
マクロビとお菓子
マクロビというと、お菓子は食べてはいけないのかなと思う人もいるかもしれません。病気治療などの目的で厳格に行っている場合は別ですが、通常は使われている材料などに注意して選べばよいのです。私もオーガニック料理ソムリエの講座で、そのように学びました。
「和のかし 巡」さんの店内に掲げられているのは、「食べた後、心地よく、穏やかで幸せな気持ちになれる和のかしです。自分、家族や大切な人にも、巡り巡って美味しい幸せのおすそわけ。そんな小さなご褒美を愉しんでいただけたら嬉しいです。」
「甘露七福神」さんも「甘いものを食するという事は、疲れた身体と心にご褒美をあげる事。またなによりも、楽しく豊かな気持ちにしてくれる事だと考えています。」
また、とげぬき地蔵(高岩寺)の近くにあるお店らしく「甘露とは、仏教の教えで『非常に美味な天人の食物』という意味。それを食すと病はたちどころに消え不老長寿をもたらすとされています」とも紹介されています。
どちらのお店も、甘いものがもたらす幸せは自分へのご褒美、と考え、素敵なお菓子を作ってくださっていますね。美味しいものを少し、ご褒美としていただくから、さらに美味しい。あれもダメこれもダメ、とストレスをためるのではなく、バランス感覚を持って健康的な食を楽しみましょう。