秋ってどんな季節?
暑い夏が過ぎ、涼しさを感じ始めるこの時期は、「読書の秋」「食欲の秋」など、秋を楽しむための方法がたくさんありますね。皆さんにとって秋は、どんな季節ですか。アーユルヴェーダでは、「火」のエネルギーが蓄積されやすい季節とされています。これは、暑い夏の間に溜めた「ピッタ」という火のエネルギーが蓄積されることが理由。また、気温が下がり、風が心地よく感じるこの時期は、空・風のエネルギーである、ヴァータが高まる季節でもあります。季節の変わり目で、気温の変化を感じやすいこの時期は、肌の乾燥やお腹の不調などを感じる人も少なくないのではないでしょうか。そのような不調を感じるときは、暑い夏の時期に溜め込んだ熱を冷まし、デトックスすることがオススメです。そして、これから訪れるカパの季節とも言われる冬に備えることも忘れてはいけません。アーユルヴェーダには、季節の過ごし方(リトゥチャルヤー)という考え方があります。今回は、アーユルヴェーダの教えを活かして、秋を快適に過ごすための方法を紹介します。
秋に感じやすい心の不調と体の変化
秋は、ピッタとヴァータが増えやすい季節です。初秋は、夏に溜め込んだピッタのエネルギーである、「熱」を感じやすい時期。そのため、消化不良、発熱、下痢、口内炎や胃炎などのバランスを崩しやすいのも特徴です。また、発疹や湿疹など肌のトラブルも感じやすくなります。そして、日々の生活の中で感じ、消化し切れなかった未消化の感情も表に出てくるかもしれません。さらに、晩秋になるとヴァータが増えやすくなります。ヴァータが増加し、不安定になると、不安、恐怖心、心配性などを感じやすくなることも。また、不眠、冷え症、便秘、乾燥肌などの症状も多くなります。
秋に取り入れたい5つの習慣
夏に溜めた疲れが現れやすい時期でもある秋の季節。お肌のケアや毎日の食事にも気を配りたいですよね。ここからは、秋に取り入れたい5つの習慣を紹介します。
①肌のケア
ピッタが過剰になり肌の炎症が気になるときは、クレイ(粘土鉱物)などで顔や体、髪をケアすることがオススメです。また、ヴァータが過剰になり、肌の乾燥が気になるときは、オイルで全身マッサージしてあげると、血液の流れもスムーズになり、肌の潤い維持にも役立ちます。自分の肌の状態を観察して、そのときの自分に合うケアを行いましょう。
②呼吸法
呼吸が浅くなると自律神経の乱れを感じやすくなります。そんなときは、呼吸に意識を向けることも大切です。ゆっくり大きな呼吸を心がけましょう。ヨガには、さまざまな呼吸法やポーズがありますが、まずは、鼻から大きく息を吸って、口からゆっくりと吐く「腹式呼吸」を心がけてみてください。感情は、呼吸に現れることも多いです。自分自身の呼吸を観察し、心に寄り添ってあげましょう。
③食事
ピッタのエネルギーが蓄積され、ヴァータのエネルギーが過剰になりやすいこの時期は、甘味、苦味、渋味のある食材を摂るのがオススメです。甘味は、ヴァータのバランスを取り、ピッタを鎮めてくれます。苦味は、ヴァータと同じ性質からなり、ピッタのバランスを調整してくれる働きもあります。最後の渋味は、ヴァータを増やし、ピッタを減らす働きがあります。
・オススメの食材
甘味:にんじん、さつまいも、かぼちゃ
苦味:レタス、ゴーヤ、コーヒー
渋味:豆類、ブロッコリー、ザクロ
・オススメの食事
過剰になったヴァータ を和らげるためには、時間をかけて作ったものやゆっくり食事を摂ることがオススメです。鍋、野菜炒め、スープなどで体を芯から温め、疲れた心身を回復させましょう。また、ピッタの要素を高めたいときは、シナモンやショウガなどのスパイスを足すこともオススメです。
④運動
日頃から運動をする習慣があると良いですが、なかなか意識が向かず怠けてしまうこともあるかもしれません。ジムなどで定期的に運動をすることも大切ですが、まずは1日30分程度のウォーキングや毎朝30回腹筋をするなど、できるところから始めてみましょう。
⑤バスタイム
1日の疲れを癒してくれるバスタイム。アロマの香りで心身の緊張を和らげてあげることもオススメです。そのときの、自分自身が心地よいなと思う香りを取り入れましょう。また、炎症が気になるときには、お風呂にクレイを入れるのもオススメです。
アーユルヴェーダアドバイザーから秋を快適に過ごしたいあなたへ
夏から秋にかけてのこの時期は、ピッタが徐々に緩和され、ヴァータが高まる季節です。私たちの生活の中には、そんな秋を快適に過ごすためのヒントがたくさんあります。日々の生活の中で溜め込んでしまった心の不調や体の変化を敏感にキャッチして、自分らしく過ごせるよう、心がけましょうね。
オガライフライター 伊藤 利枝さん のプロフィール