塩の原料は海水
皆さん、Aloha!オガライフライターのMasaeです。さて、前回に引き続き、美味しい塩の選び方をご紹介します。
塩の味とミネラル分を決めるのは、原料だけではありません。その製造方法によっても異なることをご存知ですか?そして、それによって価格も異なります。塩の原料は、元はすべて海水です。岩塩は前の記事でご紹介した通り、海水が地殻変動で隆起して結晶化したものです。ですから元は海水ということになりますが、岩塩は周囲の地盤の影響で含まれるミネラル分も味も異なります。また、砕くだけで使うことができますので、製造工程が大きく影響することはありません。しかし、海塩は製造工程が味に大きく影響します。日本国内で市販されている塩には製造方法も表示されていますから、ぜひチェックしてくださいね。
塩の製造工程 – 濃縮と溶解
海塩は、まず海水を濃縮または溶解して、濃い海水を作ります。濃縮も溶解も濃い海水を作ることが目的です。濃縮は、海水を天日干しなどして濃くする作業ですが、溶解は天日塩などをいったん溶かして濃い海水にします。濃縮には天日干しで行うものと、イオン膜交換式で行うものがありますが、このイオン膜交換式が曲者です。効率が良いため安価な塩を作れますが、海水に含まれる微量のミネラル分も漉(こ)しとってしまうため、ほぼ純粋な塩化ナトリウムとなります。旨味もなく人体へのミネラル補給もできない、鋭い塩味の塩になるのです。塩が専売制だったころは、このイオン膜交換式で作られた塩化ナトリウムが主に販売されていたため、血圧にも悪影響を及ぼしていたのではないかと私は考えます(個人的な見解です)。
塩の製造工程 – 結晶化
結晶化は主に2つの方法で行われます。天日で水分を飛ばす方法と、『釜焚』と呼ばれる方法です。釜焚には、水分蒸発の効率を考えた平釜と、低い温度でも水分を飛ばせる立釜の2種類があります。濃縮から結晶化までを一貫して天日干しで行った塩は、『天日塩』として販売されます。多湿な日本では製造量はわずかですが、海水のミネラル分がそのまま残り、まろやかな塩になります。
海塩の製造方法による分類
・天日塩
濃縮から結晶化までを天日で行うもの。手間がかかるため高価だが、海水のミネラル分がそのまま残るためミネラル分が豊富で味もまろやか。また、火を使わず天日のみで製造されるため、環境に優しい。
・釜焚海塩
濃縮は天日で行い、釜焚で結晶化したもの。多湿な日本でよく用いられる方法。天日塩より若干価格が抑えられるが、ミネラル分は豊富。
・再生加工塩
主に海外で製造された天日塩を原料とし、日本近海の海水とにがり等を添加して釜焚で結晶化したもの。上記2つに比べて安価になるが、自然塩とは呼べない。
・イオン膜塩
海水をイオン膜交換式で濃縮し、釜焚で結晶化したもの。塩化ナトリウムが99%以上でとがった塩味となる。安価だが旨味はほぼ感じない。
美味しい塩は体にも良い!
すべての塩は海水が原料ですが、岩塩なのか海塩なのか、またその製造方法によっても味も体への影響も異なります。塩はお料理に欠かせない調味料ですが、日々使う量はそれほど多くありません。ですから、価格だけを目安にするのではなく、ぜひパッケージの裏面をチェックして、高価でも美味しくて体に良い塩を選んでくださいね。