薬として重宝されてきたお茶
以前の記事でも紹介したように、お茶は2000年以上も昔から愛されてきた飲み物です。お茶が持つ健康効果も、早くから認められてきました。例えば古代の中国では、お茶は解毒剤としての効果があると信じられてきました。また平安時代の日本では、修行僧が眠気を払い集中力を維持するためにお茶が重宝されました。近年ではお茶の成分が解明され、茶の健康作用についてもより多くのことが明らかになってきました。今回は、お茶の健康効果を成分ごとに解説します。
お茶の健康成分とその効果
カフェイン
カフェインはコーヒーやお茶に含まれることで有名です。カフェインには中枢神経を興奮させ、交感神経を緊張させる効果があると考えられています。そのため眠気を覚ましたいときや、集中したい時にはお茶を飲むのがおすすめです。カフェインの含有量はお茶の種類によって異なり、紅茶>ウーロン茶>緑茶の順に多く含まれます。しかしいずれにしてもコーヒーよりかは少なく、また作用もゆっくりであることが知られています。
ポリフェノール(タンニン、カテキン)
ポリフェノールはカテキンやタンニンを含む植物成分の総称です。植物が紫外線から身を守るために欠かせない成分であり、お茶の渋みもポリフェノールに由来します。抗酸化作用が強く、美容に効果があると考えられています。また血糖値やコレステロール値を調節する作用もあることが解明されています。中でもウーロン茶には、他のお茶にはない特別なウーロン茶ポリフェノールがあると考えられています。これは重合カテキンとも呼ばれ、発酵の過程でカテキンがいくつも結合し、単体のカテキンにはなかった別の機能性を発揮するようになったものです。ウーロン茶ポリフェノールには脂肪燃焼効果、脂肪吸収阻害効果があると言われています。
ビタミンC
お茶は様々なビタミンを含みますが、特に緑茶はビタミンCに富んでいます(ウーロン茶や紅茶のビタミンCは製造過程でほとんど失われてしまいます)。ビタミンCには強い抗酸化作用があり、がんや生活習慣病予防に効果があると考えられています。またビタミンCはコラーゲン生成に欠かせない成分でもあります。ビタミンCは熱に弱いという特徴があります。しかし緑茶中のビタミンCはカテキンに覆われているため、熱を加えても壊れにくくなっています。そのため、緑茶を飲むことでビタミンCを効果的に摂取できます。
テアニン
テアニンはお茶に多量に含まれるアミノ酸の一種です。お茶の甘みや旨みの成分としても知られています。テアニンにはリラックス効果があり、血圧低下や睡眠の質の向上が期待できます。またPMSの軽減にも良いかもしれませんね。テアニンもまた熱に弱いため、水出しや低温の水で淹れると効果的に摂取できます。
お茶の健康効果まとめ
お茶は非常に多様な成分を含む飲み物です。その成分それぞれに多くの作用があり、定期的にお茶を飲むことで様々な健康効果を期待できます。特にお茶が持つ集中力アップの効果には、私はいつも驚かされます。仕事や勉強の際には、かたわらに緑茶が欠かせません!特に発酵を進めていない緑茶は、チャノキの健康成分がたくさん残されています。日本人が昔から緑茶をたくさん飲んできたことに着目し、平均寿命の長さと緑茶の関係を指摘する研究結果も発表されています。次回以降の記事では、私がぜひおすすめしたいお茶を紹介したいと思います。お楽しみに!
参考記事
- 緑茶摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について
- 日本人における緑茶摂取と全死亡および疾患別死亡リスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
- 日本人の平均寿命世界最長に緑茶が一役
- お茶 の化学成分,味 ・香りと茶樹 の栽培
- 緑茶飲料の次の戦いは、ウーロン茶!ポリフェノール量が多いウーロン茶、伊藤園や日本サンガリアも商品化:MedWave Back Number
- 【緑茶の成分テアニンとは】ストレスやうつを改善する効果・効能を引き出す抽出方法と飲み方
- お茶の始まりは「薬」だった?!薬としてのお茶の起源ついて
- お茶に含まれるタンニンとは?タンニンにはどんな効果があるの?
- 緑茶(煎茶)の効能 ~ビタミンC編