本来のヨガはポーズ法ではない?ポーズよりも大事な八支則について
日本では空前のヨガブーム。ヨガスタジオも増え、若い女性からお年寄りまで様々な人たちがダイエット・健康法として行っています。世間のヨガのイメージは「ポーズ」と思われている方も多いのではないでしょうか?実は、本来のヨガはポーズ法では無く、心のブレ・迷いなどを取り除く為の手段です。その手段を効果的に実践する為にヨガの基本として「八支則」というものがあります。今回はヨガの基本である「八支則」についてインドでヨガの勉強をしてきた私、MeGuが説明します。
ヨガの基本、八支則について説明します
インドでのヨガ留学時に使っていた英語版のヨーガスートラです
八支則はヨガの聖典「ヨーガスートラ」に記されていています。この「ヨーガスートラ」の冒頭でヨガの本来の目的として「心の動きを止滅するもの」と書かれています。ここでの「心の動き」というものは良くない妄想や人に害のある欲望などといったネガティブな感情です。ヨガの八支則を段階ごとに修行していくことによって、このネガティブな感情が取り除かれ、人生をハッピーなものへと導きます。
ヨガの八支則の種類について
ヨガの八支則の種類について説明します。
・禁戒(ヤマ)
簡単に言えばやってはいけないことです。種類は「非暴力(アヒンサー)」「正直(サティヤ)」「不盗(アステーヤ)」「禁欲(ブラフマチャリ)」「不貧(アパリグラハ)」があります。
・勧戒(ニヤマ)
日常において心掛けるべきことです。種類は「清浄(ショウチャ)」「知足(サント―シャ)」「苦行(タパス)」「読誦(スヴァーディーヤ)」「祈念(イーシュヴァラ・プラニダーナ)」になります。
・坐法(アーサナ)
現代のヨガではポーズにあたるものですが、本来は「坐法」です。後に説明する「瞑想」を長時間行う為には心地良い座り方が必要になる為、瞑想の前の三段階目にあります。ちなみに何でこれがポーズという風に意味が変わったのが、ずっと座っていると瞑想が深まらなくなる為、ポーズが生まれたそうです。これが現代のヨガのベースである「ハタヨガ」です。
・調気(プラーナヤーマ)
呼吸法のことで呼吸によって身体のエネルギー(プラーナ)をコントロールすることです。身体学的にも呼吸は血液の循環機能の向上や自律神経の安定などに繋げていく為、心身のコントロール法としても効果的です。
・制感(プラティヤハーラ)
感覚をコントロールすることです。外から感覚(音・温度・そこにいる人など)をシャットダウンして心の内に向かうことです。
・集中(ダーラナ)
「制感(プラティヤハーラ)」で外からの感覚をシャットダウンし、自分の心の内側に集中することです。
・瞑想(ディヤーナ)
心の内側に集中し、瞑想状態に入ることです。瞑想状態とは心が無に近い状態になり、意識と無意識の間にいることです。
・三昧(サマディ)
三昧状態になると、心の内から幸せな感情で満ち溢れていきます。本によってはその幸せな感情で満ちたことを「悟りを開く」という表現もします。
一番難しくて奥が深いのが「禁戒(ヤマ)」と「勧戒(ニヤマ)」
八支則の実践はヨガ初心者はもちろん、ポーズがうまく取れるようになった上級者であっても難しいかと思います。
その中で一番難しいのが八支則の第一、二段階である「禁戒(ヤマ)」と「勧戒(ニヤマ)」です。「非暴力」では殴らなきゃいいでしょ?や「不盗」は人からものを盗らなければいいでしょ、などという形で直接的な意味だけではありません。
次回からは「禁戒(ヤマ)」と「勧戒(ニヤマ)」をシリーズとしてひとつずつ解説したいと思います。