不貪(アパリグラハ)は必要以上に欲しがらないこと
前回はヨガの八支則の「禁戒(ヤマ・やってはいけないこと)」のひとつである禁欲(ブラフマチャリ)について解説しました。
今回は不貪(アパリグラハ)について説明します。不貪(アパリグラハ)とは必要以上のものを欲しがらないことです。食べ物、洋服などの身に付けるもの、生活用品など…生きていくことにはたくさん必要なものがあります。それら以上に自分の見栄の為にブランド品が欲しい、生活ができるぐらいお金を持っているのに更に欲しい、うらやましいから誰かが持っているものが欲しいなど…今の生活に必要の無いものを欲望のまま欲しくなります。それらを欲しないことが不貪(アパリグラハ)です。
不貪(アパリグラハ)を守らず、必要以上に物を欲しがると…
欲望とは制限がないもので、一度欲望に対するリミッターを外すと制限が利かなくなり、もっといいものを、もっと色んなものを今以上に欲しくなるかと思います。リミッターが外れるともっと欲しくなり、今あるものでも満足しなくなるかと思います。そうなると心が貧しくなり、普段当たり前のようにあるものに対しても満足しなくなり、動物のような人間になります。動物のような心を持った人は自分の欲望を果たすこと以外考えられず、他人も傷つけても平気になります。動物のような心を持つと、禁戒(ヤマ)の第一段階、非暴力(アヒムサ)も守れなくなります。
不貪(アパリグラハ)に沿った物の欲しがり方
不貪(アパリグラハ)は必要以上に欲しがらないようにすることがわかりました。
私がインドで不貪(アパリグラハ)で唯一それ以上に欲しがるべきものを学びました。それは「他人を幸せにする知識」であること。
例えば、私はヨガのインストラクターとしてだけでは無く、パーソナルトレーナーでもあります。お客様が痩せたい・引き締めたいというニーズがあれば、ダイエットに効果的な食事を勉強したり・最新のトレーニング方法を勉強する必要があります。これらはお客様の為になり、他人を幸せにする知識です。このような知識に貪欲になればなるほど、回りや自分自身も欲望を抜きにしてハッピーにしていきます。
真のヨギーは他人や自分も幸せにすること
インドで学んだもうヨガ八支則以外で大事なことがあります。
「真のヨギーは他人や自分も幸せにすること」ということを。不貪(アパリグラハ)はそれ以上にものを欲しがらないことですが、他人を幸せにする知識に関しては貪欲になるべきです。他人の幸せや笑顔は自分の回りにいる人に貢献し、自分自身もハッピーになるからです。
今回で「禁戒(ヤマ)」の説明が全部終わりました。次はヨガの八支則「観戒(ニヤマ・心掛けるべきこと)」のひとつである「清浄(ショウチャ)」について説明します。