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正直(サティヤ)も直接的な意味だけではない?!
今回はヨガの八支則の禁戒(ヤマ・やってはいけないことという意味です)のひとつである正直(サティヤ)についてお話します。正直(サティヤ)はそのままの意味で正直であること・嘘をつかないということです。ただ、直接的な意味だけではないのがヤマ・ニヤマの厄介なところであり、深いところです。今回も私がインドの授業で学んだことやヨガ仲間達とディスカッションしてきたことなどを踏まえ、解説します。
正直(サティヤ)はバカ正直になる必要がない?大事なのは思いやり
自分の気持ちや人に対して常に本当のことしか言わないことも大事なことでもありますが、真実を言ってしまい人を傷付けてしまうこともあります。正直(サティヤ)の前に非暴力(アヒムサ)を解説しましたが、非暴力(アヒムサ)を守れないなら、嘘を付いても人を傷付けない方がいいという考え方もあります。根本的に大事なことは思いやりを持つことです。真実を言うことは大事なことでもありますが、それによって人が傷付いたり・タイミングを間違えて余計に怒ってしまうこともあります。まずは思いやりを持つこと。正直に言うことで相手がどう思うか、どうなってしまうかも考えることも思いやりのひとつです。
正直(サティヤ)は嘘を付くことによっての自分や回りからの苦しみからの解放
ただ、相手を傷付けないようにする為に正直で無くてもいい訳ではありません。嘘を付くと罪悪感から自分や回りを傷付けてしまうこともあります。タイムリーな話題では吉本興業の闇営業問題。最初は反社会勢力グループの結婚披露宴パーティーの営業に関わった芸人さん達が自分の身を守る為に「お金をもらっていない」と自分達が所属する吉本興業に嘘をつきました。
その後、双方の謝罪会見などもあり、まだいろいろと事態は収束していませんが、最初のひとつの嘘から事態が大きくなり、多くのメディアや世間を騒がせることに繋がっています。あくまでも私の考えにはなりますが、今回の件も正直(サティヤ)の不実践に伴うことによる批判や実践したことによる状況の変化を物語っているように思えます。
正直であるべきだけど、人や自分も傷付けてはいけない
インドでヨガを学んでいた時、哲学のクラスの先生が言っていました。
「正直であるべきだけど、人や自分も傷付けてはいけない」と。
つまり、正直(サティヤ)の前に非暴力(アヒムサ)も大事で、その為に正直と嘘のバランスも必要なのではないかと授業でお話していました。正直と嘘のバランスの難しさもヤマ・ニヤマの奥深さではないでしょうか?
次は不盗(アステーヤ)について説明します。