苦行(タパス)の意味は厳しい修行に耐えること
前回は「観戒(ニヤマ)」のひとつである知足(サントーシャ)について説明しました。今回は苦行(タパス)について説明します。
タパスはサンスクリット語で「焼く」という意味。身体を焼くようなイメージで身体や心を浄化する為の自己鍛練を指します。具体的な自己鍛練とはヨガのアーサナによる肉体を鍛えること、食事の制限(ヨガではお肉・冷凍食品・揚げ物・辛い物などを除き、野菜・穀物などという野菜を中心とした食事をおすすめしてます)、呼吸の練習、清浄(ショウチャ)の時に説明した「シャットカルマ」などを実践することです。厳しい修行のような自己鍛練を行うことで身体の不浄が消え、超自然力が得られると言われております。
苦行(タパス)=自分を痛めつけることではない
本場インドでの昔のヨガは現代に広がっているヨガとは違い、修行そのもの。現代のヨガはダイエット法や無理の無い運動法として広まっていますが、昔のヨガはシャットカルマみたいに無理矢理塩水を飲んで吐き出したり、最初は誰もが簡単にできないヘッドスタンディングなども練習していくので、外から見たら辛そうに見えたり、痛めつけているかのように見えます。本場のヨガではこれらを行うことによって力を得られると言われていたからです(インドに行った時は体験としてシャットカルマを行いましたが、毎日はやりたくないと思いました…、汗)
現在、ヨガも本場インドの伝統スタイルから身体的(フィジカル)メインのものから精神性(メンタル)メインのものまで幅広いジャンルが生み出されたと同時に、苦行(タパス)も厳しい修行を耐えることから意味合いが変わっています。解釈の違いもあるのかもしれませんが、自分を傷付ける程までやらないという「非暴力(アヒムサ)」もあるので、そこまでやらなくてもいいという形になっているのかもしれません。
苦行(タパス)は努力へと意味が変わっている
昔、ヨーガスートラが出た頃は修行そのものだった苦行(タパス)は「努力すること」にも意味合いが変わっています。例えば、できないポーズをできるようにする為に練習したり、ヨガの哲学を本などで読んで勉強し自分の心を磨くことなど…辛いことに耐える修行から自己成長の為の努力に変わっています。
苦行(タパス)に耐えるからこそハッピーな人生を過ごすことができる
私自身の考え方になりますが、何かを達成する為の努力や、目の前にある障害や壁を乗り越えようとすることも自己成長につながるかと思います。仮に努力が実らなくても、障害や壁を乗り越えられなくても、少しでも昨日の自分よりも自己成長していれば、今見えているものの視点が変わったり、人に心から優しくなれる…人間性も成長していきます。ヨガのポーズでも仕事・趣味、何でも構いませんので努力し続け自分を心身共に成長させていきましょう!
次回は観戒(ニヤマ)のひとつである読誦について説明します。