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快適なキモノ暮らしとは
約7年間、毎日キモノを着て仕事をする私がご提案させていただく快適なキモノ暮らし。キモノを着ることがゴールではなく、キモノを着た上でいかに快適に暮らせるか日々探求しています。キモノは季節によって変わるということ、皆さんご存じでしたか?春―単衣、夏―絽、秋―単衣、そして冬―袷。日本には美しい四季があり、日本に住む私たちは昔から気候の変化に応じて着るものを変え、順応して暮らしてきました。一年の中で最もキモノを快適に着ることが難しい季節が夏。蒸し暑い時期のキモノライフに向けておすすめのナチュラルアイテムをご紹介します。
夏キモノとは?
夏キモノってなに?
夏用のキモノ生地は主に絽といい、ストライプ状の模様が入っています。この見た目により涼やかさを演出し、着心地も多少軽くなります。柄は、夏の植物である朝顔や、雪輪といって雪の結晶の形をしたものがあります。なぜ、夏なのに雪?と思われた方も多いと思います。暑いときに氷を見たり、風鈴の音を聞いたりすると、実際に体温が下がるわけではないのに少し涼しさを感じませんか?このようにキモノは見た目で冷たさを演出することによって夏の暑苦しさを緩和しています。
見た目重視のキモノ、実際に涼しい?
夏キモノは春や冬のキモノに比べると生地自体は多少軽くなりますが、近年猛暑が続く日本の暑さには耐えがたいというのが正直な意見です。では、どのようにして夏キモノと上手くお付き合いしていきましょう?私が提案する答えは、植物のチカラを借りるということです。
植物のチカラ、天然素材のススメ
麻(リネン)のチカラ
言わずと知れた夏素材の麻。見た目の軽やかさだけでなく、肌に触れた時のザラっとした質感が熱をため込みにくくし、快適に過ごすことが出来ます。ただし、敏感肌の方にとっては粗い質感が肌を傷つけてしまい、痛みの原因にもなりますので注意が必要です。
綿(コットン)のチカラ
こちらも麻と同じく夏の代表格。麻に比べると冷感には劣りますが、肌触りが柔らかいのが特徴です。赤ちゃんでも使える柔らかいものから粗い質感まで、選べる幅が広いこと、また比較的お安く購入できることもポイントです。
夏キモノに天然素材を取り入れる3つのコツ!
天然素材を取り入れる際のオススメアイテムを3つご紹介しますね。
1 半衿を麻に変えてみる
半衿にも麻絽といい、麻でできていて絽仕様になっているものがあります。首に触れる部分ですので、汗を吸いやすく、かつ乾きやすい麻は大抜擢でしょう。
2 肌着を綿に変えてみる
肌に直接あたる部分は柔らかい綿がおすすめです。綿100%のキモノ用肌着を購入する、もしくはさらしを使ってみるのもおすすめです。ちなみに私の肌着と補正は一年中さらしのみ。汚れてしまったら雑巾として使い、捨てる、というのがここ数年のルーティーンになっています。さらしでの補正方法を知りたい方は、こちらの書籍がおすすめです。
『骨格と着付けの関係―着くずれしない着つけ』笹島寿美(著)
3 帯枕、帯板、足袋を天然素材に変えてみる
帯枕と帯板はヘチマ素材がおすすめです。キモノ屋さんでも購入できますし、帯枕に関してはヘチマスポンジとして売っているものにガーゼを被せて手作りすることも可能です。ご自身の好みの長さ、形にできますよ。足袋は底が綿素材のものに変えることにより、足裏からの熱の発散がしやすく快適です。
天然素材はおすすめですが、注意!最後に注意していただきたい点です。冠婚葬祭などフォーマルな場所では、半衿、キモノ、帯など見える部分は絽(正絹)を身に付けることがマナーです。なぜならば、麻や綿はカジュアルな格にあたるからです。ちなみに、見えない部分(肌着、帯枕、帯板、足袋など)は天然素材でも大丈夫ですよ。
日本の夏を爽やかにしてくれるナチュラルコスメたち
着る前の一工夫~プロダクト・ドライシャンプー
ペパーミントなどたった4つの成分で作られたシンプルなミスト。ドライシャンプーですが全身に使えます。胸元や腕、帯の当たるお腹周りなどに数プッシュしたり、ヘアセット前の頭皮に付けるのがおすすめです。外出時に風が吹くとスーっと爽快感があります。
お出かけ前に~ナチュラグラッセ・UVルースパウダーM(ミントセント)2023
この方法は元芸舞妓さんに教わったのですが、首元に何かしら粉ものを付けておくと半衿の汗汚れが防げるうえに、うなじも綺麗に見えておすすめです。
こちらのルースパウダーはSPF40 PA+++かつブルーライトカットもしてくれます。石鹸で落とせるので、フェイスパウダーのついでに首にも使用しています。ミントの香りのものは夏限定の商品なので早めにチェックしてみてくださいね。
帰宅後のケアに~アルジタル・グリーンクレイペースト
見落としがちなキモノを脱いだ後のケア。洋服よりも熱をため込みやすい構造ですので、要らない熱をしっかり取ってあげてから保湿することが重要です。こちらのクレイパックはシチリアの泥を基調とし数種類の有機ハーブエキスがブレンドされています。泥は熱を取る作用があるので、帯を締めて蒸れやすいお腹周りのパックにもおすすめです。
今年の夏はナチュラルアイテムで快適なキモノ暮らしを
ここまでキモノ主体でお話ししていますが、もちろん浴衣にも応用できます。普段和装をしない方も是非チャレンジしてみてくださいね。皆さんの夏キモノへのストレスやハードルが少しでも下がれば幸いです。今年の夏は、植物のチカラとナチュラルコスメで爽やかに乗り切りましょう!
オガライフライター まや子 さん のプロフィール