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春には苦味で毒出しを!実は身近にある食べられる野草6つをご紹介!

投稿日:2023年3月21日 更新日:

冬から春へと体を移行するための手助けとなる野草

静かだった大地が動き出し、植物が少しずつ芽吹き始めるこの時期。季節は冬から春へと移り変わっていきます。春を迎える時期に、冬眠から覚めたクマが一番に食べるものをご存知でしょうか?それは、「ふきのとう」なんだとか。春先によく食される山菜や野草などにある苦味成分は、冬の間に私たちの体に溜まったものを排出してくれる効果も持ち合わせています。クマも、苦味のある植物を体内に取り入れることで、溜まった毒素や老廃物を外へ出し、体を冬から春へと移行させていくのでしょうね。

 

実は身近にある食べられる野草

ヨモギやツクシや菜の花など、ちょっと苦味のある春先に食べられる野草。昔から春先の自然の恵みとして食べられてきました。春は解毒の季節。自然のリズムというのはうまいことできていますよね。私が以前、有機農家さんと共に「野草つみ」のイベントを行っていた時、いろいろな「食べられる野草」を教えていただきました。今回は、「実は身近にある食べられる野草」をご紹介してみたいと思います。

1 ヨモギ

春の野草の代表ともいえるヨモギ。春になるとよくおばあちゃんがヨモギを摘んできて草餅を作ってくれるイメージ。ヨモギは、とても薬効性が高く「薬草」とも言われます。食べるだけではなく、お茶にして飲んでもよいし、傷口に(手で軽く揉んで)当てることで傷口を癒してくれたりもします。その他、お灸やアロマとして活用されていたり、草木染の材料としても使われたりもしています。

そんなヨモギには効能がたくさん!豊富に含まれている栄養素としては、ビタミン、ミネラル、食物繊維など。食物繊維が多いので「整腸作用」が期待できます。また「クロロフィル(葉緑素)」という成分が豊富で、体にたまっている老廃物や悪玉コレステロールなどが排出されるため、血がきれいになる「浄血作用」もあると言われます。

食べる場合は、出始めの新芽(柔らかい部分)がよいです。新芽であればアク抜きしなくても食べられます。ある程度大きくなっている場合は、茹でるときに重曹を(お湯2ℓに小さじ1程度)加えてアク抜きをした方がよいでしょう。茹で時間は1~2分程度で大丈夫です。繊維が多いため細かくするのもなかなか大変ですが、そのぶん栄養も満点です!包丁である程度細かく切ってから、すりこぎやフードプロセッサーでペーストにしておけば、団子などのお菓子、その他さまざまな料理に加えて使いやすいです。冷凍保存もできて便利ですし、天ぷらでもおいしいです。

【注意点】
気をつけたいのは、道路わきや公園に生えているものは、除草剤がまかれていたり、犬や猫のおしっこなどがかかっていたりとする可能性があるということ。自然豊かな(人工の手入れが入っていない)ところのものや、除草剤などを撒いていなければ自分の家の庭のものでもよいです。安全性が確認できるものを採取するようにしていきましょう。

2 タンポポ

「タンポポ」はあまり食べるイメージがないかもしれませんが、実はヨーロッパの方では「食用」としてメジャーな植物。しかも、花、茎、葉、根と、全て余すことなく食べられ、薬効性もとても高いです。タンポポの根っこで作られる「タンポポコーヒー」や「タンポポ茶」はノンカフェイン飲料として近年注目を集めていますよね。また、タンポポの根は生薬ともされ漢方にもなっています。

他にもタンポポには、体にこもった余分な熱を冷ます作用があります。解毒して熱によるしこりを小さくするので、乳腺炎などにも効果的と言われます。体にたまった余分な水分の代謝も促すので、排尿困難を解消する働きもあるとも言われます。豊富に含まれている栄養素としては、ビタミン、鉄、カルシウムなど。花が咲く前の柔らかな葉を摘んでサラダなどにすると、ほのかな苦味が生きてとてもおいしいです。もちろん花を天ぷらにしてもよいです!

【注意点】
ヨモギや他の野草同様、除草剤や犬や猫のおしっこなどのかかっている可能性のないものを採取するようにしていきましょう。

3 ぺんぺん草(ナズナ)

ぺんぺん草も食べられます! 別名を「ナズナ」といいます。春の七草の一種ですね!「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」の7種類。ナズナは、春に乱れがちな肝機能を正常化してくれ、胃腸の働きを高めて水分代謝を促してくれるため、むくみ解消などの作用があると言われます。

栄養素としてはカルシウムやビタミン、食物繊維が豊富です。注意点として、子宮を収縮させる作用もあると言われるので妊婦さんは食べないほうがよいでしょう。ナズナはとてもあっさりしていてクセがないので、生でサラダにしてもよいし、湯がいてお浸しでもおいしいです。天ぷらもおすすめです!

【注意点】
他の野草同様、除草剤や犬や猫のおしっこなどのかかっている可能性のないものを採取するようにしましょう。

4 カラスノエンドウ

カラスノエンドウも食べられます! マメ科の植物で、昔は食用としても栽培されていたそうです。ビタミンの他ポリフェノールや精油成分も含んでいて、便秘改善や疲労回復、イライラの解消などの効果もあると言われています。ぺんぺん草同様、クセがなくあっさりとしているので、お浸しなどでもおいしくいただけるますし、天ぷらもおいしいです。

【注意点】
他の野草同様、除草剤や犬や猫のおしっこなどのかかっている可能性のないものを採取するようにしていきましょう。

5 ツクシ

ツクシも食べられます。ツクシにはフラボノイド系のポリフェノールが含まれているため、抗がん作用や老化防止効果が期待され、また花粉症対策にもなるとも言われています。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、なかでもカロテンやビタミンEは他の野菜に比べてもトップクラスの含有量なんだとか。そのためアンチエイジング効果もあると言われています。

ツクシは採取したらできるだけ早く下処理をしましょう。茎についているハカマは硬くて食べづらいので取り除きます。水でよく洗ったのち、さっと茹でます。その後水にしばらくつけておくことでアク抜きができます。佃煮でもおいしいし、さっと炒めるだけでもおいしいです。

【注意点】
ツクシには「アルカロイド」や「チアミナーゼ」という大量摂取により人体に悪影響を及ぼす成分が含まれているため、【大量摂取は厳禁】とされています。とはいっても、春の山菜を楽しむ程度の摂取は問題ないです。ただ、【大量摂取厳禁】の知識は入れておきましょう。また他の野草同様、除草剤や犬や猫のおしっこなどのかかっている可能性のないものを採取するようにしてください。

6 菜の花

「菜の花」はお店でも売られていたりしますよね。「菜の花」とはアブラナ科アブラナ属の花の総称で、花びらが4つで十文字に開くものはすべてそう呼ばれます。ナタネ、カブ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、カラシナ、など種類もたくさんあります。若い茎菜が食用となるときには「アオナ」、蕾や若芽などが食用となるときには「ナバナ」と呼ばれます。

栄養価としては、カロテンは非常に多く、ビタミンやミネラルも豊富。春に不安定になりやすい肝機能を整えて、のぼせやめまい、イライラなどを抑える効果があると言われます。また、血行を改善して老廃物を排出するので、炎症や吹き出物などの肌トラブルにも効果的とも言われます。

【注意点】
こちらも自然のものを採取する場合は、除草剤や犬や猫のおしっこなどのかかっている可能性のないものを採取するようにしていきましょう。

 

「雑草」と「薬草」の違いとは?

私たちが普段「雑草」だと思っているものも、実はこんなにも薬効性が高く、食用していけるものなんです!では、「雑草」と「薬草」と「作物」の違いはどこにあるのかご存知でしょうか?実は、その明確な区別はないのです。私たち人間が、自分たちにとって都合の悪いものを「雑草」と呼び、自分たちにとって都合のよいものを「薬草」と呼んだり「栽培作物」として栽培しているだけなんだとか。私もはじめて有機農家さんにこのことを教えていただいたとき、大変驚きました。同時に、自分の中にとても腑に落ちていったことを覚えています。

 

「雑草」も見方一つで「薬草」に変わる!

「雑草」と呼ばれる一つ一つの「野草」を「食べる」という視点から見てみると、自分にとってすごくプラスな部分が多いことに気づきませんか?日本には、春になると山菜や野草などの自然のもの(苦味のあるもの)を食していく習慣があります。これは冬の間にたまった毒素を排出するために昔から引き継がれてきた知恵。「自然の恵みに感謝し、自然とともに暮らしていく。」まさに「和の心」です。

しかし最近では、そういった「心」が薄れてきてしまっているように感じます。自分にとって都合の悪いものは排除しようとする、厄介者扱いをしている…と思うこともあります。でも、見方一つで変わる世界がある。「野草摘み」のイベントの参加者さんからも、「ぺんぺん草を初めて食べて、抜いても抜いても生えてくる迷惑な雑草扱いしていたものが、実はこうやって食べられると知ったことで、ただの“雑草”から“愛着のある植物”に意識が変わった。」という感想をいただきました。

「雑草だと思っていたもの」も、「様々な効能」を知ることでちょっとイメージが変わったり、安全とわかる範囲で食べてみることで感じる何かがあったりする。この感覚は大切にしたいものです。ぜひ皆さんも、「身近な野草」を食してみてはいかがでしょうか?

オガライフライター eco さん のプロフィール


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eco さん

子どものアトピーアレルギーをきっかけに「食」への学びを深める。そこから「自然に習う」が生活の軸となっていき、季節感や風習等を大切にするようになる。食の学びから、→オーガニック、自然育児へも関心が広がっていき、自主保育や子育て支援も経験。また、食育や自然食の提供も経験していく。そして、→サスティナブル、エシカル、循環する社会、パーマカルチャー等へも興味が広がっていき、2022年、栃木県佐野市より長野県下伊那郡に移住。より自然豊かな地にて自給力をあげる暮らしに挑戦中!自分らしく在れる暮らし方を、楽しみながら模索しています♪

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