オーガニックな食事・食生活

薬膳からみた冬バテ対策の食材選び2つのポイント

投稿日:2022年11月29日 更新日:

薬膳という考え方

「医食同源」という言葉をご存知でしょうか?これは、「病気を治す薬と食べ物は本来根源が同じである」という考え方です。古来の中国には、「食医」と呼ばれる皇帝の体調管理を「食」を通じて行っていたお医者さんがいたといいます。そしてその「食医」というポジションは、お医者さんの中でも最高位のランクにあったのだとか。それほど「食」というものが人の健康維持において最重要視されていたということですよね。そんな中医学(東洋医学)をもとにつくられた学問が「薬膳」であると言われます。今回は、「薬膳」の考え方をご紹介しながら、その考え方をもとにした冬の時期におすすめしたい食材などをご紹介していきます。

 

五行説とは?薬膳からみた体の状況と食べ物

まず「薬膳」を理解するうえで知っておきたい中医学(東洋医学)の考え方があります。それが「五行説」です。「五行説」とは、自然界に存在するすべてのことを「木」「火」「土」「金」「水」の5つに分類する理論のことをいいます。この分類が「季節」や「色」や「臓器」等々、いろいろなことにも当てはめられていっています。

季節ごとに弱くなる臓器

五行説の観点からみていくと、季節ごとに影響を受けやすい臓器も示されているのです。それが、

・春は肝臓
・夏は心臓
・梅雨は脾臓
・秋は肺
・冬は腎臓

とされています。

五味五色とは

「五味五色」という料理用語もあるのですが、これも古来中国の陰陽五行説に由来するものと言われ、五味は、「酸っぱい」「苦い」「甘い」「辛い」「塩辛い」の味を指し、五色は「青(緑)」「赤」「黄」「白」「黒」の5つの色を指します。

五行説での捉え方

五味五色は食材の味と色に対して、それぞれに力を与えるとされる臓器も当てはめられています。それが、

*「青(緑)」「酸っぱい」=「肝臓」
*「赤」「苦い」=「心臓」
*「黄」「甘い」=「脾臓」
*「白」「辛い」=「肺」
*「黒」「塩辛い」=「腎臓」

とされているのです。

上記の3つを見比べていくと、いろんなことが重なっていますよね!五行説はこのように色々な五分類がお互いに影響し合いつながっているという考え方なので、深めていくともっと面白くなっていきますよ。

 

冬バテ対策の食材選びのポイント

では、五行説の捉え方を今の季節を当てはめてみましょう!冬バテ対策として摂った方がいい食材のポイントが見えてきます!

冬に意識したい食べ物は「腎」機能の助けとなるもの!

・冬は腎臓が影響を受けやすい季節
・「黒」「塩辛い」=「腎臓」の働きを助ける

がポイントです。「腎」という臓器は寒さや冷えを苦手とするため、寒くなっていくこの時期には気にかけていく必要があると中国では昔から言い継がれているといいます。腎臓というのは泌尿器系の排泄の役割を担う臓器。腎臓の機能が低下すると、体内の解毒が滞り、疲れやすくなったり、むくみの原因になったり、病気にかかりやすくなってしまいます。

また腎臓の役割には他にも、ホルモンバランスの調整、老化防止、発育促進、エネルギーの蓄積等もあるといわれます。冬は意識して「腎の働きを助ける食べ物」を選んで食していくようにしたいものです。では具体的にはどういったものがいいのでしょうか?

五味より「塩辛いもの」

塩辛いものは、体内の水分と体温を適切に保つ効果があるとされ、腎臓の働きをサポートするといわれます。具体的な食材としては、カキやアサリなど貝類、サケ、タラ、サバ、エビ、イカ、タコ、海藻類、カモ、豚肉等があげられます。また調味料としては、塩、みそ、しょうゆ等もあげられます。

五色より「黒いもの」

黒い食材は、腎の機能を正常に保つ助けの働きを期待できるといいます。具体的食材としては、黒キクラゲ、シイタケ、キノコ類、黒ゴマ、黒豆、黒米、ゴボウ、海苔や昆布など海藻類等があげられます。

 

季節に合わせた食の在り方

「薬膳」となると少し難しいイメージになってしまうかもしれませんが、実はその根本は「自然のリズム」や「宇宙のリズム」なのです。それが学問・知識として代々と受け継がれてきているというそれだけの話、と捉えてみてもいいかもしれません。あまり難しく考えすぎずに、自然のリズムに沿ったもの、季節に採れるものを食していく、というような習慣をつけるだけでもいいのです。

もともと、「春は肝臓が弱るから、解毒に助けになるものを食べなきゃ!!」と、頭で考える方はそんなにいないと思います。でも自然はそのリズムで、春には解毒作用の高い野草や山菜という恵みを私たちに与えてくれます。夏もそう。体に溜まりすぎた熱を逃がす効果のあるゴーヤやピーマン等の「苦いもの」や、汗で失われた水分を補うようなトマトやキュウリ、スイカ等といったものを恵みとして私たちに与えてくれます。

「五味五色の考え方は後付けでも重なってくる。」そう捉えるのでもいいと思います。ただ、せっかく先人が伝え繋げてきてくれた考え方や知識だから、そういった情報を先に知ることで、ちょっとした食材選びのヒントやポイントとして活用させてもらう。そんな受け継ぎ方もあっていいと思うのです。なのでみなさん、冬バテ防止にはぜひ、「塩辛いもの」「黒いもの」をヒント・ポイントに食材選びをしてみてくださいね。

オガライフライター eco さん のプロフィール


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eco さん

子どものアトピーアレルギーをきっかけに「食」への学びを深める。そこから「自然に習う」が生活の軸となっていき、季節感や風習等を大切にするようになる。食の学びから、→オーガニック、自然育児へも関心が広がっていき、自主保育や子育て支援も経験。また、食育や自然食の提供も経験していく。そして、→サスティナブル、エシカル、循環する社会、パーマカルチャー等へも興味が広がっていき、2022年、栃木県佐野市より長野県下伊那郡に移住。より自然豊かな地にて自給力をあげる暮らしに挑戦中!自分らしく在れる暮らし方を、楽しみながら模索しています♪

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