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【海外生活】イギリスの大手スーパーのゼロ・ウェイスト試験店舗で買い物してみた!

投稿日:2019年6月15日 更新日:

海外のゼロ・ウェイスト、2019年6月の現状

近年、ゼロ・ウェイスト(zero waste:生活で出るゴミを減らし、ゴミゼロを目指す運動や取り組みやライフスタイル)への意識が全世界で高まりつつあります。去年はCollins辞書の2018年Word of the Year(年間流行語大賞)に“single-use”(使い捨て)が選ばれたくらいです(注1)。


CollinsのWord of the Yearページのスクショ。毎年内容が入れ替わるので残しておきます

海外では法規制と企業の参加が広がり(注2)、2019年3月には欧州議会が使い捨てプラスチック製品禁止法案を可決しました(注3)。イギリスではプラスチックを使ったストロー・綿棒・マドラーを撤廃する方針が決定されたばかりです(注4)。また、スーパーマーケットでのレジ袋有料化が義務付けられた結果、7大スーパーでのビニール袋消費量が2015年から86%減少したという実績(注5)も出ています。

 

イギリスの大手スーパーがゼロ・ウェイストを期間限定試行

量り売りやバラ売りは特に目新しくもありませんが、個人商店やファーマーズマーケットなど、規模の小さいビジネスに多い傾向があります。私も日常生活でマーケットや宅配野菜ボックス、個人商店で買うようにしてプラ包装ゴミを避けていました。そういう消費者層に目をつけてか、消費者たちの要望にこたえてか、最近は大手企業も参入してきています。

そして今月(2019年6月)頭から、イギリスの大手スーパーWaitroseがオックスフォードの試験店舗にてプラスチック包装を一部食品から取り除いて販売するという試み(注6)を期間限定で開始!このスーパー、たまたま近所だったのでさっそく行ってきました。

 

試験店舗に持っていったもの

来店に向け、準備したのは、こちら。

  • エコバッグ x 1
  • オーガニックコットンの布袋 x 1
  • オーガニックコットンのメッシュ袋 x 1
  • オーガニックコットン、草木染めの手ぬぐい x 1
  • 最近買ったパンについてきた紙袋
  • 空の食器洗剤容器 x 1

 

店舗到着!

このキャンペーン、題して“Unpacked” (包装を取り除いた状態のこと)だそうです。


Waitrose Oxford Botley店

“Refuse, Reduce, Reuse, Recycle”(拒否、節減、再利用、リサイクル)の4Rはよく聞きますが、このキャンペーンでは“Reduce, Reuse, Refill”(節減、再利用、リフィル)。うまく、店の目的に沿った独自の3Rをアピールしているなと思いました。


一歩入るともう、キャンペーンの本気度が伝わってくる

来店した人はキャンペーンの説明を通らないと売り場に行けないようになっていて、そこには繰り返し使える布袋やプラスチック容器が並べられています。


私が持参したような布袋もしっかり売っている

 

どんな商品がプラスチック包装なしで売られていたか

店内に進むと、まず果物・野菜コーナーがあります。ここが全体的にプラスチック包装なしになっていました。


小さなフルーツはリサイクルしやすい紙のボックスに。鉢売りのハーブも紙包装


布袋を勧めながらも、コンポストできるビニール袋はタダで提供

肉・魚・チーズカウンターはこれまでと同じですが、ちゃっかり横で繰り返し使えるタッパー容器を売っています。


「カウンター販売の肉・魚にぴったり」と、抜け目ない

続いて、店内に新設された、穀類やナッツ、パスタ、シリアル、そしてなんとお酒の詰め替えステーション。見てのとおり、あちこち売り切れています。


穀類、シリアル、ドライフルーツ、ナッツの量り売りコーナー

 

残念だったところ

一番残念だったのが、オーガニック青果コーナー。多くがプラ包装されたままでした。オーガニック野菜や果物をプラ包装なしで買うつもり満々だったので、ガッカリ。


この店舗規模にしてはややこじんまりとした、オーガニック青果コーナー

棚には、オーガニック製品は流通過程がトレースできないといけないのでまだプラなしにはできません、という説明がついてました。


説明書きのPop

次に残念だったのは、液体洗剤の詰替。このためにわざわざ台所洗剤を移し替えて容器を空にしてきたのに、店側が決めたブランドを決まった分量ごとでしか買えないのです。


一見かっこいいリフィルステーション

台所洗剤リフィルは950ml単位で販売。私が持っていった容器は450mlと小さすぎました。


しばらくして戻ると機械が壊れていた

さらに、他店舗と同じくプラスチック包装されている状態で店に届いた商品をスタッフがわざわざ包装を取り除いて販売している(=unpacked)とのこと。これでは流通システム全体のプラスチック量は変わりません。せめて、まとめて処理しているのだから上手にリサイクルしてほしいものです。Waitroseはプラ包装なしで配送するよう今後は仕組みを変えていってほしい、と意見を書きました。

 

実際にどのゼロ・ウェイスト商品を買ったのか

で、結局何を買ったのか。まず、シリアル類の量り売りコーナーから、Waitroseの自社ブランドのコーンフレーク。同じ商品の箱入りバージョンと比べると、量り売りは100gあたり3ペンス(約5円)安い。まあ、余計な手間かけてマイ容器を持ってきてるのに、包装された商品と値段が変わらないのでは困ります。

このコーナー、計量方法が面白くて、まず持ってきた容器・袋を秤に乗せて、重さをラベル印刷します。


詰めた袋や容器を乗せたら画面をタッチして進める仕組み

買いたい商品の中身を入れ、もう一度秤に乗せてラベルを読み取ると、容器の重さを引いた重量で値段計算してラベルを印刷してくれる、という仕組み。


自分でバーコードを読み取ってラベル印刷

こうして、持っていった袋・容器のうち、台所洗剤以外は全部利用して買い物できました。


Before


After

オーガニック野菜がプラ包装付きだったので、今日の目的「ゼロ・ウェイスト」に沿った、プラ包装なしの非オーガニック野菜を選びました。残留農薬が気になったので、5月20日のMika Teraoさんの記事をスマホでチェックしながら、紹介されていた“Clean 15”(残留農薬の少ない果物・野菜ベスト15)を参考に、ナスとブロッコリーとキノコ、リストには載っていないけど旬のフェンネルを買いました。

 

試験店舗・キャンペーンの感想

キャンペーンは隅々まで考え抜いて配慮が行き届いているという印象を受けました。サービス業は日本が世界一という話をよく聞きますが、オーガニック野菜のプラ包装の説明など、疑問に思ったことがPopで答えてあったり、意見したいと思ったらお客様の声コーナーが設置してあったりと、日本人の私から見てもかゆいところに手が届く気配りでした。

店員も店頭や新設コーナーなど各所に配置され、見るからに増員されています。担当の人たちは新しい機械や仕組みについての質問にハキハキ答えていて、たくさんの準備や努力が背景にあると感じました。12週間の期間限定・試験運用とのことで、色々なアイデアを実施して、反応が良かったものはキャンペーン終了後も継続し、全国のWaitrose店舗で展開するんだそうです。

実施中アイデア:

  • 包装なしの果物・野菜
  • コーヒー豆のセルフ挽き
  • 包装なしの冷凍野菜
  • プラスチック包装なしの花・植物
  • 容器持参で乾物や生活用洗剤のリフィル
  • ボトル持参でワイン・ビールのリフィル
  • フルーツ・野菜シェフが目の前で調理してマイ容器に入れてくれる
  • 容器の貸し出し
  • マイカップ持参でコーヒーのリフィル
  • 店内イベント(不用品の再利用ワークショップ)

人気があった=利益が出たアイデアは生き残り、成果の出なかったものは継続しません。客がどのアイデアの商品をどれだけ買ったかが、この系列の今後の売り方に影響を与えます。このキャンペーンを生かすも殺すも、私たち客次第だということです。

 

あえてスーパーでゼロ・ウェイスト商品を買うことの意味

私はこれまで、オーガニック生活やゼロ・ウェイスト生活を目指し、買えるものはできる限りスーパー以外のルートで買っていました。オーガニック・エコな食品や生活用品が売っているので自分のニーズに合うことはもちろんですが、全国展開の企業や多国籍企業よりも地産地消や地元のビジネスを支持するという意図がありました。では、なぜあえて大手スーパーを支持することにしたのかというと、ゼロ・ウェイストというコンセプトや生活スタイルをもっと一般に広めたいからです。

私たちの消費活動は、企業の商品・店舗展開や広告宣伝に影響を受けます。ゼロ・ウェイスト生活に興味を持ってもらう、そして興味を持った人に実践の後押しをするためには、企業が消費者に提供するのが手っ取り早いのです。大手スーパーは全国展開や国をまたいだ展開をしているので、そこが変われば、たくさんの消費者の消費活動を変えられます。究極、全スーパー・商店から使い捨てプラスチック包装やレジ袋が消えたとしたら、結果的に消費者はプラスチックなしの買い物をするほかなくなりますよね。ゼロ・ウェイスト推進に大手スーパー、大企業、多国籍企業といった大資本を巻き込むことで、消費者の選択肢が変わり、より多くの市民が生活で実践しやすくなる、とも言えます。

反対に、消費者から企業に需要の存在を知らせることも重要です。営利企業は利益が見込めることは進んでやるものなので、たくさんの消費者が求めれば動きます。社会的責任(CSR)を要求しつつ、価値観に合う商品をリクエストします。そして強制力を持たせるために行政に働きかけることも大事です。レジ袋が課税され有料になった実例(注5)からも、行政介入は人や企業を動かすことがはっきりしています。

これはつまり、ゴミ減、ゴミゼロ化といった国・地球規模で大きな変化を実現したいなら、双方向の働きかけが必要だということです。消費者の声や需要は企業を動かしますし、もっとたくさんの消費者に同じ意識を持ってもらうために、大企業の力は有効です。

私は、オーガニックもゼロ・ウェイストも、追求するのならお金に訴える必要がある、と思っています。だから、個人の生活の中で、できるだけ自分の価値観に合う生産者や、活動に賛同できる人・企業を、購買というかたちで支持しています。

「買い物は投票」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。英語では“consumer power”(消費者の力)という言葉があり、私たち消費者一人一人の手に世界を変える力があるという考え方、というか、紛れもない事実です。その力、振るってみませんか。

 

注1
“Collins Word of the Year” (Collins)
https://www.collinsdictionary.com/woty

注2
「規制を進めるEUと追う加盟国、チャンスをうかがう企業」(JETRO, 2019)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/0101/68f0fc848240f4f1.html

注3
「使い捨てプラ、欧州全域で禁止へ EU議会が法案可決」(AFP, 2019)
https://www.afpbb.com/articles/-/3217943

注4
「【イギリス】環境相、プラスチック製ストローや綿棒の柄等の提供・販売を禁止。2020年4月から」(Sustainable Japan, 2019)
https://sustainablejapan.jp/2019/05/27/uk-plastic-ban/39837

“Single use plastic: banning the distribution and/or sale of plastic straws, stirrers and plastic-stemmed cotton buds in England”(Gov.uk, 2019)
https://www.gov.uk/government/consultations/single-use-plastic-banning-the-distribution-andor-sale-of-plastic-straws-stirrers-and-plastic-stemmed-cotton-buds-in-england

注5
「 【イギリス】2015年のビニール袋有料義務化、小売大手7社のビニール袋消費量が86%減少」 (Sustainable Japan, 2018)
https://sustainablejapan.jp/2018/08/03/uk-plastic-bag-reduction/33652

注6
“Bring your own containers, says Waitrose”(BBC News, 2019)
https://www.bbc.co.uk/news/business-48498346

“Oxford Waitrose Unpacked campaign: Shoppers give verdict” (BBC News, 2019)
https://www.bbc.co.uk/news/uk-england-oxfordshire-48517126


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Riaki Poništさん

Riaki Poništさん

食を中心にゆるいオーガニック生活を営む健康オタク。 旅で出会ったスロバキア人の彼と結婚してオクスフォードに移住し、現在は電気・水道・ガス・ブロードバンドの通っていない ボートで水上をさまよう暮らしに挑戦中。 実務翻訳のほか、音楽やブランドのプロモーションビデオ、ドキュメンタリー、YouTube Redシリーズ、NHK番組などの字幕翻訳を担当。 辞書で有名なオクスフォード大学の出版局で働く傍らTED翻訳にハマり、字幕の品質を管理するランゲージコーディネーターを日本語と英語の2言語で兼任。 2018年3月時点で270本を超える字幕にクレジットされ、食、健康、医療、サステナビリティ、社会問題など幅広い分野で積極的に文字起こし・翻訳している。

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