子育てと怒りについて
親から子に対しての怒り調査をしたところ(2019年度)、子どもを本気で強く叩いたことがある親が50%以上。平均して週に5回、子どもを大声で怒鳴りつけるほどの強い「怒り」を感じている親が2/3、という結果があります。育児は初めての事だらけで大変です。それぞれ、いろんな家庭環境があります。子どもの笑顔や寝顔に癒されるのはもちろんですが、子育てと怒りの感情が隣り合わせな事が調査上でも顕著に現れていますね。理屈が通用しない、思うように事が進まない、拒否、反抗されるなど、どれも子どもの成長には必要なものですが、わかっていても本当に腹が立つものです。この怒りをコントロールしなければ心理的虐待・身体的虐待に繋がっていく可能性は誰しもにあるのです。そこで役立つのが前編でご紹介した「アンガーコントロール」。今回は「子育てと怒り」、「ラギングスキル」について解説していきます。
前編はコチラ
怒りを増幅させる原因を理解しよう!
【0~1歳】
・赤ちゃんを泣き止ませなければいけない
・離乳食は残さず食べるべきだ
・赤ちゃんに怒るなんて親として失格だ
・ミルクや排泄物など先生の指示通りにやらなければいけない
・同じ月齢の子どもと比べて同じことができていなければいけない
【幼児期】
・妹や弟に意地悪するべきではない
・親の言うことは一度聞いたら理解するべきだ
・食事をこぼさず食べなければいけない
・小学校に上がる前に平仮名、カタカナは全て読み書きできなければいけない
・誰にでも明るく元気に返事すべきだ
などなど、こういったものが怒りを増幅させる原因の一因となる「不合理な信念」になります。(不合理な信念とは「それについてしがみついていても、自分にも相手にもプラスをもたらさない価値観の事」)
では、この「不合理な信念」を「合理的な信念」に書き換えてみましょう。
【0~1歳】
・赤ちゃんを泣き止ませなければいけない⇒赤ちゃんは泣くのも仕事だ!
・離乳食は残さず食べるべきだ⇒離乳食は食べたい量だけでOK!
・赤ちゃんに怒るなんて親として失格だ⇒赤ちゃんも私も0歳、不完全だからこそ一歩ずつやっていこう
このように合理的な信念に書き換えると少し気持ちが楽になりませんか?オススメは頭の中で完結するよりも、文字におこすことです。
ラギングスキルとは
子どもは大人とは思考回路がまったく違います。「計画性」「合理性」「集中力」などの理性を司る脳の司令塔、前頭前野が未発達なのです。脳がほぼ完成に近づくのがなんと30歳といわれています。びっくり。そりゃぶつかり合いますよね!では子どもの頭の中を見てみましょう。
・白黒はっきりしないと気が済まない
・その場に応じた臨機応変な対応が苦手
・気持ちの切り替えやタスクの移行が苦手
・多様なアイディアを同時に考えられない
・自分の気持ちを言葉にできない
・責任のないことも自分のせいだと感じる
・想像の世界と現実が曖昧
・過去のある経験が心に大きく影響を及ぼしやすい
など、子どもから大人に成長していく中でこれらは身につけていくスキルです。この、いずれ身につくスキルでも現在は備えていない能力のことを「ラギングスキル」といいます。
例えば、
いつも通る道ではなく裏道を通った時、子どもが「いやー!こっちじゃない!あっちじゃなきゃダメー!」と怒り出しました。
⇒あ、この子は特定のルールから外れるのは苦手なんだ!
(白黒はっきり・特定のルールに縛られる・新しい別のアイディアに切り替えが苦手)
など、ラギングスキルを知り見極めます。親である自分がまず感情的にならずに、一歩引いて客観的に見る。子どもの考えている事を傾聴し理解する、そして親子で一緒に解決策を考えていきましょう。一番してはいけない事は、「この子はこうだから〇〇ができない」と決めつける事。この子にはまだその能力が身についていないだけなのです。
・「わがままだ」⇒自分のペースを守れる子
・「ミスが多い」⇒行動力がとてもある
・「反抗的だ」⇒自分の意見を主張できる
アンガーコントロールを活用して理想的な一日を想像する
あなたにとって理想的な一日とはどんな一日でしょうか?想像してみてください。それがアンガーコントロールのゴールになります。過去に囚われるのではなく幸せな未来に繋げるのです。「怒り」の本質、感情の種類、ラギングスキルなどをご紹介しましたが、すぐに完璧に行える人はいないと思います。ですが、知ると知らないとでは心の持ち方が全く違ってきます。怒りの感情は当たり前、それを理解しコントロールする。大丈夫です、親も完璧ではありません。子どもと一緒に日々歩んでいきましょう!
オガライフライターSayaka さんのプロフィール