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田んぼの準備が始まる季節
4月、5月頃になると、あちらこちらの田んぼに水が張られ始めます。田植え準備の始まりです。実は、田植えの準備は私たちの目に見える前から、籾ふりからの苗おこし(苗づくり)というところから、すでに始まっています。日本古来の田園風景。私たちが毎日主食としていただいているお米。私たちはお米のことをどれだけ知っているでしょうか?私は子どものアレルギーから「食」を大切にするようになり、「田植え体験」等も多々行ってきました。そういった「体感」を経て得ていくものも大きいと感じています。そこで今回は、体験談もふまえたお米や田植えの話を書いてみたいと思います。
お米についての豆知識
いきなりお米クイズ!問題です!
【問1】「お茶碗一杯分のごはん」には何粒のお米が入っているでしょう?
きちんと数えたり計算したりしてくれている人がいるのですね!正解は、約3250粒くらいなんだそう。
【問2】「お茶碗一杯分のごはん」は稲だと何株くらい?
これは、まず稲の成り立ちから知っていくといいでしょう。1粒の種もみから1つの苗ができます。→苗を3~4本くらいの束にして1株として田植えをしていきます。→植えられた苗は田で成長して、1株が20~30本くらいに増え、稲穂が実っていきます。1本の稲穂には、品種によって異なるそうですが、だいたい70粒くらいの種もみがつくと言われています。20~30本の稲の束が「稲1株」として数えられます。
これらを重ね合わせて計算してみると、
「茶碗一杯分の種もみ」3250粒÷「1本」70粒=46.42本
1株が20~30本なので、束で考えると、46.42本÷20~30本=1.5株~2.3株くらい必要ということになります。
【問3】田んぼ一面では「何杯分のごはん」「何人分のごはん」になるのかな?
品種や栽培方法や天候などの条件で変わるので一概には言えないようですが、まず私たちの食べるお米の量から考えてみましょう。私たち一人一人が一年間で食べる米の量は、昭和37年度の118.3㎏/1人をピークに、平成2年度は70.0㎏/1人、平成12年度は64.6㎏/1人、平成22年度は59.5㎏/1人、令和2年度は50.8㎏と減少傾向にあるそうです。逆にパン食が増えているデータも出ているのだとか。(農林水産省調べ)
昭和中頃~現代にかけて、お米の消費量は半分以下に減っているという事実がわかります。びっくりです。また、田んぼ一面と言っても広さはまちまちです。田んぼの単位としては1反や1畝という単位が使われますが、私たちにはよくわかりませんよね。そこで、テニスコート1面分として比較して考えてみたいと思います。テニスコート一面は、サイズでいうと79坪くらい。お米の収量を1000㎡辺り500㎏と考えて、年間消費量の50.8㎏をかけると101.6㎡になります。
「1㎡=0.3坪くらい」なので、1人の人が一年間で食べる量のお米を作るために必要な田んぼの面積は30坪くらいということになります。もみ取りや精米をすることも考えるともうちょっと余裕をもった数値でイメージしてもいいかもしれません。33坪くらいでしょうか。1人が1年間に食べるお米を作るのに必要な坪数は33坪くらい。テニスコート一面は79坪くらい。ということは、2.4人の人が1年で食べる量が、テニスコート一面分くらいの広さの田んぼから採れる!というようなイメージとなります。
2.4人分というと、夫婦2人とお子さん1人の家庭の1年分くらいのイメージでしょうか。これはあくまで平均値として考えているので目安にすぎませんが、どうでしょう? 広いと思いましたか? 狭いと思いましたか?私は、広いなぁー。と思いました。
茶碗一杯のごはんにかけられている労力
このように自分の生活に身近な部分に重ねせて見ていったり考えてみたりすると、田んぼや稲への見方、変わってきませんか?1粒の種もみが70粒に増えること、田に根を張り増えていく稲の食物の生命力の強さ、その恵みをいただけていること、稲を育ててくれている農家さんがいること、稲を作るために広大な土地の力を借りていること、そして私たちの食卓に出てくるまでにも、卸してくれる業者さん、売ってくれるお店、調理してくれる家族、といった存在もあるのです。すごいなぁ…、茶碗一杯のごはんにかけられている労力。と感じてしまいます。「一粒のお米には八十八人の神様がいるんだよ。」という言葉を先日耳にしました。ほんとですね、大事にしていきましょう!毎日いただいているごはん!
分け合う喜び!息子が「田植え体験」を通して感じたこと
息子君が保育園の年長の時の話です。年長クラスの名前は「八郎組」!(「八郎」という絵本の主人公みたいにたくましくなってほしいという願いからつけられたクラス名なんだとか。)年長さんの活動の一環で、田植え体験・稲刈り体験を、近くの農家さんに協力してもらってやるというものがありました。秋のある日、1合くらいのお米を持ち帰ってきた息子君。「これは、八郎米だよ!みんなで作ったお米なんだよ!」と話していました。園として1袋くらい購入したようで、クラスの園児で分けて持ち帰ってきたそうです。
私は「これは炊くのも息子君と一緒にやりたいな!」と思いました。時間を作って一緒に土鍋で炊いてみましたが、とてもとても美味しかったです。特に印象に残っているのは、炊きあがって少ししかなかったごはんを、息子君は4等分にして家族みんなに「食べて!」と配ってくれたこと。自分が作るのに携わったお米だから、愛着も人一倍あったのでしょう。そして「家族にも分けたい!」と思った純粋な気持ち。本当に素敵です。「お米に至るまでの一連に関われたこと」で芽生えるもの、感じ得ていくもの、やはり「体感」を経て習得していくものは大きいなぁと感じた出来事でした。
自分の今の生活に重ねてみること
お米一つとっても「自分の今の生活の一部」に重ねて見ると見え方が変わっていきます。お米ができる過程を想像してみたり、少しでも関わってみる機会を持てたりとすることで、感じ方も変わっていくのではないでしょうか。田植えの始まるこの季節だからこそ、そんな風景を見る機会があったら、「自分の今に重ねてみる」ということをしてみてください。そこから広がっていくものがあるかもしれません。
オガライフライター eco さん のプロフィール